園長ブログ

話し合うことの重要性

2013/02/27

現行の保育所保育指針や、幼稚園教育要領はともに平成20年に改訂されました。

幼稚園教育要領解説 序章 第1節改訂の基本的な考え方 には、1 改訂の経緯 2 改訂の基本方針 3 改訂の要点が示されていて、(1) 総則 ①幼稚園教育の基本には 「幼児期における教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり」として、まず、幼児期の重要性を示しています。

(2)ねらい及び内容
ア領域「健康」では、食育の重要性が書かれています。

ねらいと内容の中から、話し合うことと関連しそうな部分を取り上げてみると、

イ領域「人間関係」
②次のことなどを新たに「内容」に示した。
・共通の目的を見いだし,工夫したり,協力したりなどすること

③次のことなどを新たに「内容の取扱い」に示した。
・互いに思いを主張し,折り合いを付ける体験をし,きまりの必要性などに気付き,自分の気持ちを調整する力が育つようにすること

エ領域「言葉」
①次のことなどを新たに「内容の取扱い」に示した。
・幼児が自分の思いを言葉で伝えるとともに,教師や他の幼児などの話を興味をもって注意して聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき,言葉による伝え合いができるようにすること

コミュニケーションを取ること、協働すること、話し合うこと、自分の気持ちを調整することなどが重要視されているように思います。

話し合うこと

2013/02/26

5歳児たちが、お別れ会の出し物を何にしようかと話し合っているのを近くで聞いていると、議論が噛み合わなかったり、脱線したり、ほとんど進展していなかったりするようにも思えるのですが、よく聞いていると、ひとりひとりそれぞれにいろいろな役割を果たして、ぶつかったり調整したりしながら、話し合って一つの結論を導き出していました。

こういった「話し合う」という態度は、社会生活の中でとても大切なことです。大人だって相手の意見を聞き、自分の意見を述べることが、いつもできているわけではありません。

大人だからこそ、固定概念や自分の考えに縛られてしまって絶対自分が正しいと思い込み、他の人の言うことに耳を貸すことすらできなくなっている場合も少なくないように思います。その思い込みが、意見だけでなくその意見を持っている人をも否定するように拡大していったりすることもあります。そうなると相手との心の溝がどんどん深まってしまいます。

企業をはじめ様々な組織で「情報共有」や「コミュニケーション」をいかに行うかということが話題になったり、研修のテーマになっています。それは、多様な人々が互いに求め合い、お互いのよいところを活かし合った方が生産性が高いからです。

子どもがしているように、思い込みや固定概念にとらわれず、心を開いて素直に話し合うことができるとどんなに楽しいし建設的でしょう。そのためには、まず相手を、相手の意見を認めること、最初から相手を否定しないことからスタートしないと何もはじまりません。異なる考えや相手を受けとめること、自分だけが絶対正しいと思い込まないことが必要なのだと思います。

他の人と共に力を合わせて生きてゆく。そのためには、お互いを理解し合うことが最も大切です。そのためにも話し合うことは、最も有効な手段の一つです。その有効な手段を建設的に活かし合うように使うのか、破壊的に使って対立や恨みや憎しみを産むのか、私たちひとり一人にかかっているのではないでしょうか。

発達から見た「話し合うこと」〜言葉(話す)〜

2013/02/25

「話すこともまた様々な場面で話す経験を積み重ねることにより身に付いていきます。その過程において、幼い子どもは言葉で伝えることが難しいと、泣いたり、不機嫌になったりしますが、保育士等が子どもの気持ちを汲み取り、丁寧に対応していくことで、子どもは徐々に分かるように話したり、言葉を介して相互に理解し合うことの大切さに気付いていきます。
さらに、子どもは成長とともに、自分の気持ちを調整しながら相手に分かるように話したり、相手の言葉からその気持ちを汲み取ることができるようになり、保育士等や友達との会話を楽しめるようになります。そして、相手の話し方や話のおもしろさを味わいながら、自分も相手に伝わるように話したり、言葉を選んだりするようになっていきます。」(保育所保育指針 第3章保育の内容 1 保育のねらい及び内容 (2) 教育に関わるねらい及び保育 エ言葉(イ)内容 ⑥人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す)

話すことももちろん大切です。その前提として、「保育士等が子どもの気持ちを汲み取り、丁寧に対応してゆく」ことが大切になってくるのでしょう。そのことによって子どもは自分の気持ちに気づき、それを言葉を使って伝える。言葉を介して相互に理解し合うことがわかってくるのでしょう。

友だちにおもちゃを取られ、悔しくて友だちをたたいてしまった子に、「謝りなさい」と無理矢理謝らせても、あまり意味がないように思います。「おもちゃを取られて悔しかったね。」とその子の気持ちを汲み取ってあげる。それを言葉にして表してあげることで、その子は「これが悔しいってことか…」と自分の気持ち、感情に気がつくことができるのです。自分の気持ちや感情がわかるようになることで、相手の気持ちを汲み取り、自分の気持ちを調整し、相手にわかりやすいように言葉を選んで、自分の気持ちを伝えることができるようになるのだと思います。

私たち保育者に必要なのは、「謝る」事を教え込むのではなく、その子の気持ちにより添い共感してあげることなのだと思います。

発達から見た「話し合うこと」〜言葉(聞く)〜

2013/02/24

当然のことながら、話し合うことは「言葉」を通して行われます。「言葉」について、保育のねらい及び内容には次のように記されています。

言葉
経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。

ねらい
①自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
②人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。

内容
内容には12の項目がありますが、相手と意見を交換するという観点からみると次の項目が大切かと思います。

⑥人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。

まず、「人の話を注意して聞き」とあります。ついつい自分の想いだけを伝えようとしがちですが、「注意して聞く」ことが大切なようです。

解説には次のようにあります。

人の話を聞く態度を習得していくことは、たいへん重要です。人の話を聞き、その言葉を通して相手の気持ちや考えを理解することは、様々な場面で聞く経験を重ねることにより体得されていきます。それは、乳児期からの積み重ねであり、人への親しみの気持ちや相手への興味や関心が、聞くことを促していきます。そして、言葉によるイメージを持つことができるようになることで、人の話に共感したり、話の内容を理解することができるようになります。また、自分の話を十分に聞いてもらえることが、人の話を聞くこと につながっていきます。

先ずは受けとめてもらって、聞いてもらえるからこそ誰かの話を聞くことができるようになるのですね。しかし、大人になるにつれてそれを忘れてしまうことが多くなるのか、人の話を注意して聞くことをせずに、自分の主張を相手に押し付けようとしてしまうことがあります。特に気をつけたいものです。

発達から見た「話し合うこと」〜人間関係〜

2013/02/23

保育所保育指針の保育の内容は「ねらい」と「内容」で構成されていてます。

保育士等が、「ねらい」及び「内容」を具体的に把握するための視点として、「養護に関わるねらい及び内容」と「教育に関わるねらい及び内容」との両面から示してているが、実際の保育においては、養護と教育が一体となって展開されることに留意することが必要である。(保育所保育指針第3章保育の内容)

とされています。

一方、幼稚園教育要領には保育所保育指針の「養護」にあたる具体的な記述は見当たりませんが、「幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものである」(第1章第1節幼稚園教育の基本)と記されています。

教育は「、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」(保育指針)で、5つの領域で構成されます。この領域は、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」及び「表現」ですが、これらは発達の側面であり国語や算数のような科目ではありません。子どもの発達は全ての要素が含まれているのです。

この5領域並びに「生命の保持」及び「情緒の安定」に関わる保育の内容は、子どもの生活や遊びを通して相互に関連を持ちながら、総合的に展開されるものである。(保育指針)

各領域に示すねらいは,幼稚園における生活の全体を通じ,幼児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連をもちながら次第に達成に向かうものであること,内容は,幼児が環境にかかわって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない。(幼稚園教育要領)

とあります。

それでは、5領域のなかから「子どもたちが話し合う」ということに特に関係が深そうな部分を敢えて取り上げてみます。

領域(人間関係)
他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。

内容
⑥自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。

子どもは、自己主張し合うなかから、自己抑制することを少しずつ体得していくのです。 子どもは共に遊んだり、生活したりする中で、相手の気持ちを理解するだけでなく、相手に分かるように話すにはどうすればよいかを考えていきます。(解説)

自己主張をしたり、自己抑制したり、相手の気持ちを理解しようとしたり、自分の気持ちを伝えようと工夫したり、話し合っている5歳児の子どもたちの会話からは、そういう心の動きが感じられました。

発達から見た「話し合うこと」〜ねらいと内容〜

2013/02/23

保育所保育指針第2章には子どもの発達の特性や発達過程が示されていました。

第3章は「保育の内容」となっていて、「ねらい」と「内容」に分かれています。
「ねらい」には子どもの安定した生活と充実した活動のために保育士が行わなければならないこと、子どもが身につけるべき心情、意欲、態度などが示されています。

「内容」は、「ねらい」を達成するために、子どもの生活や状況に応じて保育士が適切に行うこと、保育士が援助して子どもが環境に関わって経験することが示されています。

そして、この「ねらい」と「内容」は「養護に関わるねらいと内容」「教育に関わるねらいと内容」の両面から示されています。実際の保育では、養護と教育が一体となって展開されるのであり、別々のものではありません。養護は、「生命の保持」と、「情緒の安定」と言われていますが、生命に危険がなく、情緒が安定することなしには、教育はあり得ません。教育というと学校教育をイメージしがちですが、ここでいう教育とは「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」のことをいいます。

養護は0・1・2歳児で教育は3・4・5歳児というとらえることがありますが、0歳でも教育は必要ですし、6歳でも養護は必要です。

そして、この教育は「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」及び「表現」の5領域から構成される。と保育所保育指針には書いてあります。

幼稚園教育要領を見てみると、

この章に示すねらいは,幼稚園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情,意欲,態度などであり,内容は,ねらいを達成するために指導する事項である。これらを幼児の発達の側面から,心身の健康に関する領域「健康」,人とのかかわりに関する領域「人間関係」,身近な環境とのかかわりに関する領域「環境」,言葉の獲得に関する領域「言葉」及び感性と表現に関する領域「表現」としてまとめ,示したものである。(幼稚園教育要領 第2章ねらい及び内容)

健   康 : 心身の健康に関する領域
人間関係 : 人とのかかわりに関する領域
環   境 : 身近な環境とのかかわりに関する領域
言   葉 : 言葉の獲得に関する領域
表   現 : 感性と表現に関する領域

いわゆる5領域ですが、学校の国語、算数、理科、社会などの科目のようにとらえられがちですが、そうではなく、幼稚園教育要領にもあるように指導事項を子どもの発達の側面からとらえたものと定義されています。

幼稚園教育における領域は,それぞれが独立した授業として展開される小学校の教科とは異なるので,領域別に教育課程を編成したり,特定の活動と結び付けて指導したりするなどの取扱いをしないようにしなければならない。(幼稚園教育要領 第2章ねらい及び内容)

と記されています。領域は発達をとらえるための窓だともいわれます。子どもの発達を様々な角度から見て、今、この子に必要なことは何かを見つめたいと思います。

発達から見た「話し合うこと」〜おおむね6歳〜

2013/02/21

5歳児たちは、この時期ほとんどの子が満6歳になっています。そう考えると「5歳児クラス」という区切りは何か変ですよね。先日、内科検診がありました。子どもたちが診察していただく際に保育士がお医者様に「5歳児です」というと、子どもは「ちがうで6歳やで!」といいます。「○○歳児クラス」という大人が勝手に決めた枠組みは「おかしいんちゃうん?」と子どもに言われているように思いました。私たち大人が子どもだからわからないだろうけど、5歳児なんだから5歳児なの。なんて思い込まず、「ぼくはぼく、わたしはわたしだよ。一人ひとりちがうし、ひとり一人をちゃんとみてよ。」という子どもたちの声にしっかりと耳を傾け、できるだけ固定概念に縛られないようにして、子どもひとり一人を見て行けると良いと思います。

保育所保育指針の子どもの発達を示した発達過程に「おおむね6歳」という項目があるので、話し合うなど、みんなで力を合わせて行うといったことに関する部分を見てみます。

仲間の意思を大切にしようとし、役割の分担が生まれるような協同遊びやごっこ遊びを行い、満足するまで取り組もうとする。様々な知識や経験を生かし、創意工夫を重ね、遊びを発展させる(保育所保育指針第2章子どもの発達 2発達過程(8)おおむね6歳)

相手の心に思いを馳せ、何を思っているのか互いに考え合い、想いを伝え受けとめるからこそ役割分担する事ができるのでしょう。言葉で表すと複雑ですが、普通に育てば、子どもたちは自然にそれができるのです。

友達の主張に耳を傾け、共感したり意見を言い合うこととともに、自分の主張を一歩譲って仲間と協調したり、意見を調整しながら仲間の中で合意を得ていくといった経験も重要となります。 【自主と協調の態度】 (解説)

自分自身の内面への思考が進み、自意識が高まるとともに、自分とは異なる身近な人の存在や、それぞれの人の特性や持ち味などに気付いていきます。【思考力と自立心の高まり】 (解説)

自意識の高まりとともに、自分の存在、他の人の存在どちらも大切だということがわかってくる。友だちの意見を受けとめ、共感し、意見を言い合う、その中で自分を主張するだけでなく一歩譲って協調したり意見を調整できるようになるのです。

まさに話し合いをしていた子どもたちの姿だったと思います。たどたどしかったり、ぶつかる部分ももちろんありますが、受けとめること共感すること、自分の意見も主張するが譲るところは譲る。社会の一員となる上で大切な能力をこの頃に身につけてゆくのですから、そこが伸ばせるよう、ひとり一人丁寧に関わりたいと思います。

発達から見た「話し合うこと」〜おおむね5歳〜

2013/02/20

5歳児たちがみんなで話し合って、ひとつのことを決めていました。「話し合う」ということに直接関係しそうな事項を、保育所保育指針の文言から拾ってみましょう。

まず、発達の姿です。指針には「おおむね6か月未満 」から「おおむね6歳」まで発達過程を8つの区分で示しています。この区分は、「同年齢の子どもの均一的な発達の基準ではなく、一人一人の子どもの発達過程としてとらえるべきものである。」とあるように、おおむね3歳のところに書いてあることが3歳になっているのにできないからダメ!という評価の基準ではなく、子どもが育ってゆく道筋が示されているということです。

「おおむね5歳」の発達過程から、「話し合う」ことに直接関係しそうな部分を抜き出してみます。

「自分なりに考えて判断したり、批判する力が生まれ、けんかを自分たちで解決しようとするなど、お互いに相手を許したり、異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力を身に付けていく。」(第2章 子どもの発達 2発達過程 (7)おおむね5歳 本文)

「異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力」を幼児期にはつけているはずなのに、大人になっているにもかかわらず、違った意見が認められなかったり、自分の意見だけを押し通そうとしている事があるのではないかと、自らをふり返ってみて、少し恥ずかしくなりました。

おおむね5歳の発達過程についての解説には次のようにあります。

「集団活動の中で、言葉による伝達や対話の必要性が増大し、仲間との話し合いを繰り返しながら自分の思いや考えを伝える力や相手の話を聞く力を身に付けていきます。主張のぶつかり合いやけんかが起きても、すぐに大人に頼らず、自分たちで解決しようとする姿が見られるようになります。」【目的のある集団活動】(解説)

大人の指示や命令など干渉する事が多すぎると、「自分たちで解決しようとする」発達を阻害することになります。5歳児たちが話し合っていたとき、担任は真横で見たり、自分も話し合いに入るようなことはせず、少し離れた机で自分の仕事をしていました。一見子どもだけ放置して、自分の仕事をしているかのように見えますが、実は、自分はここにいるからねと子どもに示して、子どもたちがどうしようもなくなって「助けて」と行った時には力を貸せるように待機していたのです。ですから耳はしっかりと子どもたちの会話に向けられています。

「自ら考えながら、自分の気持ちを分かりやすく表現したり、相手の気持ちを聞く力が育つことを通して、子どもは、次第に相手を許したり認めたりする社会生活に必要な基本的な力を身に付けるようになります。」【思考力の芽生え】 (解説)

お互いに認め合うこと、受けとめ合うことの大切さをこの時期に学び、そこを伸ばして大人になってゆくはずです。この観点から自分を見つめ直したいと思います。

発達から見た「話し合うこと」〜発達とは〜

2013/02/19

5歳児がみんなで話し合って一つのことを決めている姿がありました。こういった姿を子どもの発達からみるとどういうことなのでしょう。そもそも子どもの発達とはどういうことで、発達には何が大切なのでしょうか。

保育所保育指針第2章には「子どもの発達」ということが書かれています。

「子どもは、様々な環境との相互作用により発達していく。すなわち、子どもの発達は、子どもがそれまでの体験を基にして、環境に働きかけ、環境との相互作用を通して、豊かな心情、意欲及び態度を身に付け、新たな能力を獲得していく過程である。」(保育所保育指針 第2章 子どもの発達)

とあり、子どもが自ら環境に働きかけることが大切なことがわかります。幼稚園教育要領にも「環境を通して行う教育」ということが書かれています。

「幼児期は自分の生活を離れて知識や技能を一方向的に教えられて身に付けていく時期ではなく(中略)自分から興味をもって環境にかかわることによって様々な活動を展開し,充実感や満足感を味わうという体験が重視されなければならない。」(幼稚園教育要領解説)

大人が何かを教え込むのではなく、子どもが「自ら興味を持って環境にかかわること」が大切なのですね。

そして、保育所保育指針には、「特に大切なこと」として人との関わりをあげています。

「愛情豊かで思慮深い大人による保護や世話などを通して、大人と子どもの相互の関わりが十分に行われることが重要である。この関係を起点として、次第に他の子どもとの間でも相互に働きかけ、関わりを深め、人への信頼感と自己の主体性を形成していくのである。」

大切なのは子ども同士の関わりです。その基礎には大人との関わりがありますが、子ども同士の関係のなかで生まれてくる信頼感と主体性、人を信頼し、自分を信頼し自信を持ってゆくことが主体性を形作ってゆくということなのでしょう。

子どもが育つうえでもっとも大切にすべきことは「社会を構成する一員となる」ということなのだと思います。相手を認め、自分を主張し、意見を交わし合って問題を解決してゆく。皆で話し合って決めるということは、こういうことにつながると思います。

自分たちで決めたこと

2013/02/18

今日は二十四節季の雨水です。雪が雨となり、積雪や氷も融け出す頃という意味だそうです。低気圧が1日かけて日本を通過してゆき、朝から本格的な雨が降り続きました。こよみ通り少し暖かな1日だったと思います。太平洋に抜けた低気圧が発達すれば、冬型の気圧配置となり雨が雪に変わるのかもしれません。さむくなったり寒さが少し緩んだりして、少しずつ春が近づいて来るのでしょう。

5歳児たちが、お別れ会でどんなことを披露するのか、話し合っていたことを紹介しました。ちょっと聞いただけだと、きつい言葉を使っていたり、なかなか噛み合わず、前進しない議論をしているように聞こえるのですが、じっくりと子どもたちのやりとりに耳を傾けているととても丁寧に話し合っていることに気づきました。

最終的には「こままわし」を披露することに決まり、どんな見せ方をするのかはもう少し後で話し合うことにしたようです。もっとうまく回せるように、難しい技にも挑戦できるように練習しようという話になっていました。子どもたちは近くにいた担任に「せんせい教えてよ。」と頼んでいましたが、担任は「お友達のなかから上手な人を見つけて教えてもらったら?」「どうしても見つからなかったら、コマを回すのが上手な先生もいるから探して頼んでみたら。」と声をかけていました。

すぐに大人が教えようとするのではなく、まず子どもたちのなかで解決できるようにする配慮が感じられました。

早速、子どもたちはその日の午後から楽しそうにこままわしの練習を始めていました。わからないことや難しい場面に出くわしたら、友だちにアドバイスしてもらっている姿が印象的でした。教えてあげている方も嬉しそうです。なによりも、みんなとても楽しそうです。まだ上手に回らない子も、一所懸命取り組んでいました。私が通りかかると「先生 見てて」と私にも見せてくれました。その嬉しそうな、楽しそうな、いきいきした笑顔がとてもステキでした。

自分たちで話し合って決めたことには、意欲的に取り組めるのだと思います。

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