園長ブログ

いのちを活かす 1

2014/01/23

鞍馬山保育園の昼食は和食メニューが多いので、昆布とだしじゃこと削り節を使ってだしをひく機会が多くあります。ですから出汁に使ったあとの昆布やだしじゃこ、削り節などがどうしても余ってきます。それらの美味しさは、出汁の中に溶け出していますが、昆布もだしじゃこも削り節もまだまだおいしくいただけそうです。これが余ってくるのはもったいないなといつも思っていました。

昨年度は、だしじゃこと削り節を甘辛く味付けして煮て、水分が少なくなるまで、煎ってから少し砕いてふりかけを作っていました。不足しがちなカルシウムを補うにはぴったりで、子どもたちにできるだけおいしく食べてほしいという思いと食材を無駄なく使いたいという思いからでした。好きな子はごはんにのせてよく食べていたのですが、だしじゃこの頭が食べにくいのか、好きな子が多いとは言えませんでした。そんなわけで今年度は、だしじゃこふりかけはしばらくお休みにしていたのです。

ですが、私は何とかもう一度食べられるようにならないものかと考えていたのでした。調理担当者にそのことを相談したら、調理も同じことを考えていたようで、「何か考えてみます。」と言ってくれました。

どうすれば、子どもたちが食べやすく、おいしくすることができるのか、暇があれば私なりにいろいろ考えてみました。だしじゃこの頭を取れば少しは食べやすくなるのか、削り節は、カラカラに乾燥させて粉末に近い状態にすれば食べやすくなるのか、いや、あまりに粉っぽいと、もっと食べにくいかもしれない。そんなことばかり考えていました。

せっかくの、昆布と、だしじゃこです。もちろんだしを取らせてもらえば、それでよいのですが、せっかくいただいた食材のいのちです。そのいのちをできるだけ活かして使う方法をなんとか考えたかったのです。最後まで活かしきることができると良いのですが・・・

夫婦の幸福度

2014/01/22

FMラジオを聞いていたら、パーソナリティーがニュージーランドのオークランド大学で、行なわれた実験について話していました。

夫婦間での喧嘩やトラブルというのはよくあるものです。お互いの主張や考えがぶつかり合うなどして、喧嘩になってしまいます。そこで、意見がぶつかり合わないように「夫が妻の言い分を全て受け入れ続けるとどうなるのか?」という実験を行なったそうです。

その実験は、何組かの夫婦に「夫婦間の幸福度を調査」ということで協力してもらって、妻には幸福度を10段階で表してくださいとだけ伝え、夫にだけ「妻の言い分を全て受け入れ続ける。たとえ主張が違うと思っても反論せず、常に同意し続ける。」という条件を伝えました。ですから実験期間中は奥さんの主張が全て受け入れられ、夫は妻の考えに従って行動するのです。実験開始時の夫の幸福度は7、妻の幸福度は8でした。

しかし実験開始から12日で、予定したよりも早く実験は終了したそうです。その理由は、夫のストレスがひどすぎて、これ以上実験を続けるのは危険と判断されたからだそうです。このときの夫の幸福度は3と実験開始時の7から急落したのに対し、妻の幸福度は実験開始時の8よりわずか0.5高い8.5だったそうです。

パートナーのどちらかが、常に相手の意見に同意し続けることでは、幸福度は上がらない。ある程度ぶつかり合うことも必要なのかもしれない。問題はそのぶつかり合い方なのかもしれない。とパーソナリティは言っていました。

この放送を聞いて、お互いが自分の想いを伝えることの大切さと、相手の想いを受け止めることの大切さを感じました。自分の想いを冷静に伝えれば良いのに、つい感情的になるから、けんかに発展してしまうのかもしれません。また、相手の意見を受け入れると、この実験のようになるかもしれません。かといって、聞かなければ、相手は自分の想いを伝えることができなくなってしまいます。ですから、まずは相手の想いを受け止めることです。全て聞き終わる前から、相手が話す前から、否定的な気持ちで聞いても、相手は受け止められた感じはしません。まずは丸ごと受け止め、そして自分の想いを伝える。ということがお互いに行なえれば、衝突は起こりにくいのかもしれません。

これは夫婦間にかぎらず、いろいろな人がコミュニケーションをとるうえで必要なことなのではないでしょうか。当園が目指す子ども像に「自分の想いを伝えられる子」「相手を受け止められる子」というのがあります。自分の想いをしっかり伝えるし、相手の事も精一杯受け止めることができる。子どもも大人もそうできるようになると良いと思います。

たくあん漬け 5

2014/01/21

米ぬか・塩・渋柿の皮・昆布を混ぜます

たくあん漬けを作ってみたことを書いていたら、いつの間にか話題が発酵のことになってしまっていました。発酵はとても奥が深く、おもしろいと思います。詳しくわかっているわけではありませんが、おもしろいなと思ったり、不思議だなと思うことを、またの機会にお伝えできればと考えています。

さて、たくあん漬けですが、漬け物を置く場所を決めて、掃除をして清めたら、いよいよ樽に仕込んでゆきます。米ぬか、塩、柿の皮、昆布、くちなしなどをあらかじめ混ぜ合わせたものを、樽の底に薄く敷きます。

   大根を樽にならべます

その上に大根をできるだけすき間ができないように並べてゆきます。小さく細めで曲がりやすい大根を樽の縁に沿わせるように置き、何本かの大根を並べてゆくと、思ったより簡単に樽の曲線に沿ってきれいに並べることができます。大根を互い違いに入れると良いのかと思いましたが、そうするとかえって不自然にすき間ができてしまうので、同じ方向で並べました。大きなすき間ができてしまうときにはそれまで一緒に干していた大根の葉を詰め込むと、すき間が少なくなります。底にきれいに並べたら、ぬかに塩などを混ぜたものをふりかけ、また大根を並べてゆきます。それを何度か繰り返して大根が入りきったら上からぬかをふりかけて、その上に大根の葉を敷き詰めます。

最後にぬかをかけてから葉で覆います

最後に木のふたをしてその上から漬け物石2つで押さえました。大根から水が出てきて、蓋の上に水がかぶるくらいになれば、2つのせていた石を1つにして、少し軽くするつもりです。

こんな感じで、6〜7キログラムの大根を仕込んだ樽が2樽できました。これからどうなってゆくのか楽しみです。おいしいたくあん漬けができる事を祈って、「おいしくなってね」とお願いしておきました。
                                                        

  重しに石をのせます

たくあん漬け 4

2014/01/20

発酵は微生物が働くことで進みます。腐敗も同様に微生物が働くことで進みます。どちらも様々な微生物がいろいろなものを分解して精一杯生きている自然の働きですが、人間にとって有用か否かで発酵とも腐敗とも言えるのです。どこが違うかといえば、どんな種類の微生物が、どう働いているかだと思います。人間が自然の力をかりて人間に有用な発酵を促し、その成果である発酵食品をいただく。そこに人が関わることが多いということも発酵の特徴かもしれません。

ですから、人が果たす役割も大切です。微生物のように直接材料を分解することはできませんが、微生物が働きやすいような環境を整えることはできます。材料を冷たい水で洗わなくてはならないこともあるでしょう。米や豆を煮て柔らかくすることもそうですし、かき混ぜることで、好気性の菌に酸素を届けてあげることも必要かもしれません。

人間にしかできないことをしっかりやる。微生物にしかできないことは微生物を信じて任せる。まさに共同作業です。人間にできることの中には、楽しく作業をするということがあるそうです。日本酒を造る杜氏さんたちはお酒を造るときにいろいろな歌を歌いながら行います。それには作業の辛さを緩和したり、作業に当たる人の息を合わせたりする役割がありますが、これは裏を返せば、楽しく作業をするということです。この楽しい雰囲気を作ることが人間の役割のひとつなのかもしれません。

たくあん漬けの話から発酵のことになってしまいましたが、発酵に必要なことは、他にも当てはまることがあるような気がします。様々な微生物がそれぞれの役割を果たし、精一杯働くことで、おいしい発酵食品ができるということです。みんなそれぞれ自分の役割を持っています。それぞれが楽しくその役割を果たす事ができれば、自然とハーモニーが生まれ、みんなが良くなってゆけるのです。

たくあん漬け 3

2014/01/19

たくあん漬けを作るためには、まずどこに樽を置いておくのかを決めなくてはなりません。しばらく置いておかなくてはならないので、邪魔にならない、冷暗所、水分がこぼれても大丈夫な土間など、いろいろな条件が整う場所を見つけようとすると難しいものです。

あまり使っていない出入り口の土間が手頃だったので、そこに樽を置くことにしました。ところが、ほとんど使わない場所なので、ほこりがたまっていたりして、美しくなかったのです。もしかしたら、これはお漬け物によくないかもしれないという気がしたので、まずはその場所を掃除することから始めました。狭いので、それほど時間をかけなくても美しくなりました。なんといってもたくあん漬けは食べものです。ほこりがたまったようなところでは作りたくはありません。

たくあん漬は発酵によって作られます。様々な微生物がやってくるから発酵するのです。「微生物たちは、それぞれに自分の役割を知っていて、バランスを取り合ってうまく働くからこそ美味しい発酵食品が生まれる。」というはなしを聞いたことを思いだしました。ですから、薄汚れた場所よりはスッキリ美しい場所の方が、微生物たちも楽しく働いてくれるような気がしたのです。

スッキリ美しい場所で食べ物を扱うというと、除菌ということを考えてしまいがちですが、除菌をしなくてはならない時や場所と、そうではない時や場所があることを忘れないようにした方が良いように思います。全ての菌を取り除いてしまっては、発酵は起こりません。

昔ながらの、酒蔵や醤油蔵などには様々な菌が住み着いていて、その菌が発酵の様々なステージでそれぞれの役割を果たすからこそ、おいしいお酒や醤油、味噌などができるのだそうです。そうやってうまく発酵が進む所を「発酵場」と呼んだりしますが、バランスがとれていてうまく発酵が進む「場」では、様々な生き物の共同作業が行われています。そこではそれぞれの生き物がそれぞれに活躍できる。そのことによって協調が生まれる。別のことばで言えば「和」があるのです。「和」の生まれる「場」でじっくりと「間」(時間)をかけて発酵させることができると、おいしい発酵食品ができあがるようです。

たくあん漬け 2

2014/01/18

5歳児達が収穫した大根でたくあん漬けを作るために、しばらくのあいだ大根が干してありました。お寺の方が作っていらっしゃるのを見て、たくあんに挑戦してみたくなったので、道具一式を借りて大根も13㎏ほど分けていただきました。

お寺の方から教えていただいた作り方をベースに、自分で調べたことも合わせて試してみました。分けていただいた米ぬかに、塩を混ぜますが、味噌作りで瓶の中蓋の代わりに使った塩の一部をここで使いました。そこに、これまたお寺の方にいただいた渋柿の皮を干したものと、くちなしの実を混ぜ合わせ、それに昆布も加えてみました。昆布の旨みが出ると良いと思ったのですが、もしかしたら傷みやすくなってしまうかもしれません。鷹の爪は手元になかったので省略です。入れた柿の皮の量も少し多すぎたような気もしますが、どうなるのかはできあがってみてのお楽しみです。

ぬかに塩などを混ぜ合わせたら、いよいよ樽に入れてゆきます。樽はお正月にお寺にそなえられていた樽酒の樽を貸していただきました。分けていただいた大根の量が多く1つの樽で入りきらないと思ったので、念のために2つの樽を貸していただきました。仮に大根を並べてみると、やはり入りそうにないので、半分ずつ2樽に漬け込むことにしました。少し条件を変えてみようと思い、1つは漬物用のポリ袋を樽に敷いてその中で漬ける。もう一つは、ポリ袋を使わずに直接木の樽につけ込む。の2種類で試してみることにしたのです。

酒樽は木の目の使い方が、漬物用の樽とは違うので、漬け物を漬けるのにはあまり向いていないということを聞いたことがありますが、わざわざ、漬物用の樽を購入するゆとりもなかったので、酒樽で漬けてみることにしました。ポリ袋を使うのであれば木の樽でも、プラスチックでも大差なさそうですし、酒樽でポリ袋を使わずに漬けるとどうなるのか試してみたいとも思ったのです。

たくあん漬け

2014/01/17

子どもたちと滋賀県の畑に行って収穫してきたたくさんの大根。お寺のご本尊にお供えした後は、お寺で料理されて様々な人に振る舞われました。もちろん園の昼食の材料にも使わせていただきましたし、5歳児達が収穫してきた大根として、他の子どもたちも持ち帰りました。私もいただきましたが、とてもみずみずしくて生でいただくのが一番美味しかったと思います。そんな大根ですが、あまりにもたくさんあるので、お寺ではたくあん漬けを作ることになったようです。

そのためには、しばらく大根を干す必要があるそうで、稲刈りをした後のいねを「はさがけ」するようにして葉をつけたまま竿に干されていました。気温が氷点下になると、大根が凍ってしまうので、夜はむしろやビニールシートで覆われてじっくり乾くようにしてあったようです。大根への細かな気遣いが感じられます。年末に子どもたちとお餅つきに行ったときにも、竿にかかっていました。ちょうど良い機会だと思って、大根を収穫した5歳児の子どもたちに「みんなが採った大根だよ」と言って見せたら、やたらと感心していました。その後も大根の乾きが悪かったようで、先日ようやく漬け物樽に入れられていました。私はお寺の方がたくあん漬けを作っていらっしゃるところにちょうど居合わせたので、しばらく見学していました。

まず、米糠に塩を加えたところに、甘みを出すために干した柿の皮を、味のアクセントと漬けているあいだの虫除けに鷹の爪を、色が良くなるようにクチナシの実等を入れて混ぜ合わせておきます。ちなみに柿の皮は渋柿のが良いそうです。それを樽の底に少し入れ、その上に大根をきれいに並べて入れ、また塩などを混ぜたぬかを入れ、その上に大根を並べることを繰り返してゆくのだそうです。お寺の皆さんは慣れていらっしゃるようで、手際よくつけ込んでいらっしゃいました。

その様子を見学していたら、自分でもやってみたくなったので、無理を言って大根を少し分けてもらい、ぬかや柿の皮クチナシなどもいただき、漬け物道具を一式貸していただきました。

大根

2014/01/16

   うんとこしょ!どっこいしょ!

毎年12月には5歳児の子どもたちと、おいも掘りなどでお世話になっている滋賀県の畑に行きます。お寺へのお供えとして植えてくださっている大根を収穫するためです。昨年の12月にもみんなで畑に行ってたくさんの大根を収穫しました。

その畑は土が軟らかいので、大根の葉の付け根を持って上に引くとちょっとした手応えとともに土からスポンと抜けてきます。最初子どもたちはコツがつかめず、なかなか抜けないといいながら悪戦苦闘していますが、

あっという間に大根の山ができました

ちょっとしたコツをつかむと、おもしろいように抜けるので、どんどん収穫してゆきます。今年は大根が小振りだったこともあり、去年より簡単に抜けました。慣れて来たら、片手でどんどん抜いてゆく子、一本抜いて、そのまま次の一本を抜いてしまう子もいました。

みるみるうちに、畑には収穫した大根の山ができます。抜いた大根は、近くの水のあるところまで運んで、一緒に来てくださったお寺の職員さんに洗っていただきます。昨年までは大根を抜くことがおもしろくて、収穫した大根を運ぼうとする子はいなかったのですが、今年のこどもたちは、一輪車に大根をのせて運ぶ楽しさをみつけたようです。一輪車に大根を満載して運んでいました。大根を満載した一輪車を1人で押して運ぶのは子どもには難しいことです。どうするのかなと思っていたら、いつのまにか友だちに声をかけて3人くらいで力を合わせ、時にはひっくり返しながらも、一生懸命運んでいました。

しかし、みんなが一輪車に行ってしまったわけではなく、大根抜きがしたい子もいて、

力を合わせて!オーライ!オーライ!

ちょうどバランスがとれていたように思います。そうして、お寺の職員さんが洗ってトラックに積んでくださった大根で1トントラックの荷台はいっぱいになりました。

そうして子どもたちが収穫した大根の一部は園の昼食の材料となり、子どもたちがそれぞれ家に持ち帰ったりしますが、一番の用途は、お寺のご本尊にお供えすることです。

見学

2014/01/15

秋になると園を見学に訪れる方が増えます。10月には多くの幼稚園で次年度入園募集がはじまるので、幼稚園に入園するか保育園にするか、考えていらっしゃる保護者の方が見学に来られることが多くなるのです。もちろん保育園に入園希望される方がそれ以外の時でも見学にみえたり、園庭開放の時を利用して親子で来園される方もたくさんいらっしゃいます。

先日、そんな方が、園を訪れてくださいました。見学者の対応は私が行う事もありますが、たいてい主任の先生が行ってくれます。園の理念や保育方針、保育の方法などを説明したり、事務的な説明をしたり、一通り口頭での説明が終わったら、実際に園内をご覧いただいています。

その日の3・4・5歳児は、土曜日ということもあったのかもしれませんが、登園している子どもの数が少なく、いつもにも増して子どもたちが自分でやりたい遊びを選んで、思い思いに取り組む活動となっていました。室内での遊びでしたが、どうしてもなわとびをしたいという子どもたちのために、部屋の一角がなわとびゾーンになっていたり、別の一角では1時間くらい集中してお絵かきをしている子どもたちがいたり、こま回しに夢中になっている何人かがいたようです。

そんな様子をご覧になった見学者が、「今まで持っていた保育園や幼稚園のイメージと違う。」とおっしゃって、何かをやらされている感じがなくて、子どもたちが楽しそうにいきいきと遊んでいる姿に感心していらしたそうです。

その後、昼食の時間が近づいたので、先生が「絵本を読もうかー」と声をかけたら、子どもたちが、それぞれ遊んでいたおもちゃを片付出し、先生が「集まりなさい」といったわけでもないのに、先生のまわりに自然に集まってきて絵本を見ようとしていた姿にも驚かれていたようです。

当園でも、先生が指示することもありますし、どもが一斉になにかをすることはありますが、この時はいつも以上に子どもたちが自らの興味に従って主体的に自発的に遊び込めていたようです。そうして、子どもたちの心が満たされると、次の活動への移行もスムーズに行う事ができるのです。情緒が安定するためには子どもたちの様々な欲求を適切に満たすことが必要となってくるのです。

だからといって、先生は放任して子どもたちのやりたい放題やらせていたわけではなく、遊びが発展したり、興味が続くような配慮や声がけをしているのです。このときもなわとびをしていた子どもたちが少し飽きてきたようだったので、子どもたちが挑戦したくなるようななわとび遊びを提案したら、そこから遊びが広がったといっていました。

おいしくできました

2014/01/14

約10ヶ月間寝かせて熟成させていた味噌をとりだしてみることにしました。もう少し寝かせてみようかとも思ったのですが、次の仕込みを寒中にしておきたいという思いもあって、取り出すことにしたのです。

   蓋を取ってみたところ

瓶の蓋を開けて、中蓋の役割そしていたポリ袋に入った塩をそっと引き上げてみます。しっかり密閉できていたからなのか、持ち上げるのには思ったより力が必要でした。中蓋を取り除くと、茶色くなった大豆が現れると同時に、味噌の香りが立ち上ります。色や香りからするとどうやら味噌になっているようです。表面にカビらききものはみあたらず、水分が上がっていたのでしょうか、少し光っていました。

よく見ると、2カ所ほど黒っぽい斑点のような部分があります。カビという感じではないのですが、よくわからないので取り除いてみました。斑点のようになっていたのはほんの表面だけで、

かきまぜると良い香りが立ち上ります

すぐに取り除くことができました。中はもっと薄い色です。表面が5ミリメートルくらいの厚さで全体的に、濃い色になっていて、斑点に見えたところは更に色が濃かったのでした。斑点の部分だけを取り除き、更に奥まで掘ってみると、きれいな明るい茶色の味噌になっていました。少量を手にとって口に含むと、味噌の香りがふんわりと口いっぱいに広がります。少し塩辛い目ですが、ちゃんとに味噌になっています。かなりおいしくできているのではないかと思いました。底の方はどうなっているのだろうと思って掘ってみましたが、瓶の底まで同じ色、同じ味でした。保管のための容器に移そうと取り出すと、味噌の良い香りが部屋中に広がります。

お味噌汁にしてみました おいしい!

早速、食べてみたくなって、味噌汁を作ることにしました。できあがった味噌汁の味はというと、最初口に含んだときはとてもシンプルですが、優しい甘みというのか旨みが徐々に口に広がります。なんといっても香りが良いのです。味も香りもとても優しいというのが適切かもしれません。とっても美味しい味噌ができました。初めての味噌作りは大成功です。

大豆と塩と麹のチームプレイが美味しい味噌にしてくれたことはもちろんですが、冬の寒さにはじまり、寒暖の差が大きな春、梅雨の湿度、夏の暑さ、秋のさわやかさ、そしてまた冬と四季を通じて熟成させることで、温度や湿度をはじめとした様々な環境を、大豆、塩、麹の味噌チームが経験します。温度や湿度だけではなく麹菌以外の様々な微生物も関係しているかもしれません。多様な環境を経験することで、味に深みやコクが生まれるのだと思います。様々な経験が深みを増すということは、人も同じなのかもしれません。

まさに、手前味噌な話ですみません。

スクロール