園長ブログ

やってみる

2014/05/13

保育士の先生が自分を変えることに取り組んだことを聞いて、 できそうなことは真似をしてみようと思ったので、早速、「ステキなことば」を試してみました。「たのしい」「うれしい」「ステキ」「素直」「信じる」「清らか」「見守る」「きれい」「明るい」「ありがとう」くらいはすぐに出てきますが、他に何かないかな。と考えると、なかなか思い浮かばないものです。あまり長い時間をかけていられなかったので、5分くらいにしておきましたが、同じことばばかり、何回も言っている状態です。

それでも、実際にやってみると、なんだか、心が軽く晴れやかになった気がして、嬉しくなってきました。「何て単純なやつなんだろう!自分は!」なんて思ったりもしましたが、単純でもなんでも、晴れやかで、たのしい心でいられたら、うれしいものです。
いつも、こんな心でいられたらいいのにとも思います。

以前、ある職員から「園長先生顔がこわい!」と言われたことがあります。その時は怒っていたわけでもなくイライラしていたわけでもなかったのですが、何か考え込んでいて、眉間にしわでも寄せていたのかもしれません。「そんなことないでしょ?」と返事をしましたし、自分でもそんなに「こわい顔」をしているとは思っていませんでした。

最近「ステキなことば」を試してから、ちょっと嬉しい気持ちで園に行きました。自分の心のベースが嬉しいと、いろいろなことが楽しく考えられて、良い循環に入れそうな気がしました。明るい気持ちで、「おはよう」と挨拶したら、その先生が「園長先生、今日はニコニコ顔ですね。うれしい!」と言ってくれたのです。

そのことばを聞いて、ハッ!としました。それまで、自分はこわい顔をしているつもりはなかったのですが、「本当にこわい顔をしていたんだ」と気づきました。

自分の顔は鏡を使わないと見る事ができませんが、まわりに鏡になって「こわい顔」とか「ニコニコ顔」とか伝えてくれる人がいるから、気付く事ができたのです。そんな人がいてくれることって、とってもありがたいことです。

そうやって伝えてくれる人がいることのありがたさと同時に、表情でさえまわりの人に影響を与えるのだから、言動はもっと大きな影響を与えているのだということを感じました。頭ではわかっているつもりでしたが、実際にはわかっていなかったのです。まず、心を穏やかに保つようにできれば、表情も言動も穏やかでいられるように思うので、これからは、できるだけ穏やかな心で、明るい気持ちで、ニコニコ顔でいようと思います。保育士の先生が教えてくれた「ステキなことば」から大切なことに気付く事ができました。

変わる

2014/05/12

自分を変えたいと思って「パターンを変える」に取り組んだ先生。その先生は「パターンを変える」以外にも実践していることがあると言っていました。それは「ステキなことば」を声に出して言うということです。「やさしい」「美しい」「うれしい」「ありがとう」「明るい」「たのしい」など思いつく限りのステキなことばを、なにも考えずにただ声に出して言うのだそうです。

これを実践していると、明るくうれしい気持ちで過ごせる時間が増えるのだと言っていました。その先生は、毎日、ちょっとした時間を見つけて、この「ステキなことば」を声にしているそうです。そうすると、以前は、何かうまくいかないことがあると、すぐに誰かのせいにして、すぐにその人を責める気持ちが心に生まれて、腹を立てたりイライラしたりしていたけれども、「ステキなことば」を口にするようになってから、明るい気持ちでいる時間が増え、腹が立ったり、イライラすることは随分減ったと言っていました。

素晴らしいことだと思います。

こういうことって、人から聞いたり、本で読んだりして、そうなんだ。と思ってもなかなか実践できないものです。それを実践していることが素晴らしいと思いました。

そして、そのことで自分を変えようと努力し、それが現実になってきていることも、素晴らしいです。

先生の思いと、それを実践する行動力に心からの拍手を送りたいと思うと同時に、こんなにステキな人と一緒に仕事ができることは本当に幸せなことだと思います。

ありがたいことです。

変える

2014/05/11

自分を変えたい!なんとか、今の状況から抜け出したい。もっと良くしたい!そんなことを思ったことはありせんか?
何か(誰か)を変えようと思ったら、まず自分から変わるしかない。こんなことが良く言われます。でも、自分を変えるってどうすればよいのでしょうか?そんなに簡単には

昨年度末に、保育士の先生と話していたら、「私、昨年度はあまり良いことがなかったので、今年度はパターンを変えることにしたんです。」と話してくれました。

はじめは、なんのことかなと思っていたら、自分を変えるのにはパターンを変えると良いって聞いて、やってみているのだそうです。「パターンを変える」の意味がよくわからなかったので、具体的には何をやっているのか聞いてみると、難しいことは何もなくて、ただ変えるだけだといいます。例えば、朝起きた時に、顔を洗ってから歯をみがいていたのを、歯みがきしてから顔を洗うように変えるとか、いつも決まって聞いているCDを違うものに変えるとか、ほんとうに日常のちょっとしたことを変えるのだということでした。

「パターンを変える」ことを実践しているようなので、やってみて何か変化があったのか聞いてみると、気分が変わったたということです。うまく行かないことや思い通りにならなくて、イライラすることが少なくなったと言っていました。

実際にやってみて、やり続けていることがステキだと思いました。

あとがき

2014/05/10

『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較特別編集版』を見てきましたが、レポートの「おわりに」の項目には、

異なる国々の子どもの幸福度を測定し比較することは、大きな課題と限界のある不完全な作業である。理想を言えば、こうした測定・比較には、次のような指標を取り入れていくことも必要だろう。

として、複数の項目が挙げられています。

▶育児の質
▶幼児教育の量ではなく質
▶子どもの精神・情緒の健康
▶家庭内暴力の経験(被害者あるいは目撃者として)
▶子どもへの虐待とネグレクトの広がり
▶子ども特有の環境(安全で監督されずに遊べる機会など)の質と安全性
▶養護施設で暮らしている子どもの幸福度
▶障がいのある子どもの幸福度
▶子どもの商品化/子どもの性の商品化
▶子どもが生活の中で触れるあらゆる種類のメディアとその影響

数値化して比較するのは難しそうです。

そして、幼児期の重要性についても言及しています
上記の課題のほかに、子どもの幸福度をモニタリングするために現在行われているほぼ全ての国際的試みおよび各国の試みには、もう1つ弱点がある。それは、子どもの生後数カ月から数年間にわたる発達面の幸福度に関するデータが欠落していることである。

子どもの幸福、健康、発達に対する社会の関心と保護が最も必要なのは、幼児期であるにもかかわらず、現在入手可能なデータはもう少し年上の子どもたちを対象としたものがほとんどなのだそうです。

幼児の発達に関する全国的なデータがほとんどないのはなぜか。それは、幼児期の発達の重要性に一般の関心や政治的な注目が集まるようになったのが比較的最近であることの表れかもしれない。また、ひとつには、幼児の生活に関するデータ収集は実現性に乏しく、個人の生活に立ち入ることになりかねず、公共政策との関連性に乏しい、という従来の考え方の反映とみることもできる。しかし、やはり、幼児の発達を測定・モニタリングする上で、広く適用可能な手段がないことも問題なのである。

とあります。

しかし、カナダやオーストラリアでは幼児の発達を定期的にモニタリングする取り組みも始まっているそうです。

モニタリングの方法としては、教師が5歳児全員についてチェックリストに記入する(正式な学校教育が開始してから2、3カ月以内)。このチェックリストには、幼児の発達の5つの領域に関する約100のチェッ ク項目がある。5つの領域とは、身体的な健康と幸福、社会的能力、情緒面の成熟度、言語・認知能力、コミュニケーション能力である。

集計や分析ができるデータがあることによって、親たちや地域社会、子どものための組織、学界、中央や地方政府が、全ての子どもに最良の人生の始まりを約束できるよう、より多くのことを知り、行動できるようになってきている。

幼児期の発達を支援することは単純な課題であるとか、また、リソースが見つかりさえすればあらゆる解決策が手に入るといった主張はすべきでない。しかし、幼児期に対し適切な投資を行うことは、子どもたちが現在、また将来にわたって豊かな暮らしを送り、長期的な社会福祉を実現する上で、極めて大きくかつ持続的な効果を上げることも明白である。

乳幼児教育の重要性は、世界的には早くから指摘されていて、乳幼児教育の質を高めるために様々な取り組みが行われています。みんなが幸せに暮らせる社会を実現するために、乳幼児がより良く育つことに力を注ぐ必要があるのです。

*太字は『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較特別編集版』よりの引用です

環境面の安全

2014/05/09

子どもはその成長過程において、 暴力を受けたり、暴力を目撃したり、 暴力を恐れたりすることがあってはならない。幼い時期に暴力を経験すると、子どもは長期にわたる深刻な 影響を受ける可能性があり、正常な発育を妨げ、短期的かつ長期的な幸福に影響する恐れがある。結果的に行動障がい(攻撃性や対人関係不全)、情緒障がい(鬱や不安)、健康関連障がい(不眠や悪夢)などにつながる可能性も指摘されている。

とレポートにはあります。

住居と環境分野の「環境面の安全」構成要素の指標は、殺人発生率です。

殺人発生率が指標として採用された理由は

子どもの置かれた環境における暴力を評価・国際比較することは問題点も多く、社会の全体的な暴力の水準を知るための近似的な手がかりとして殺人発生率を採用することとした。

ということです。

所見には
▶殺人発生率が10万人あたり4人を超える国は、ラトビア、米国、エスト ニア、リトアニアだけである。その他の国の殺人率は、ほぼ全てが10万人あたり0〜2.2人の範囲である。
▶犯罪率の低さでは、日本は31カ国中第2位に入っている。

とあります。

環境面の安全のもう一つの指標は「大気汚染」です。データが入手可能で国際比較が比較的容易な共通指標の1つは屋外の大気汚染の水準であるという理由で大気汚染が指標として選ばれており、「空気中の粒子状物質(PM10)の年間平均濃度」が比較されています。

所見には
▶大気汚染レベルが最も低い国は、エストニア、アイルランド、米国、ルクセンブルク、フィンランド(いずれも 20 μg/m3 未満)である。
▶日本の大気汚染レベルは 22μg/m3 で、31カ国中8位である。

国際的な比較をするためにどんなデータを選ぶのかは、とても難しい問題だと思います。

*太字は『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較特別編集版』よりの引用です

住居

2014/05/08

先進国における子どもの幸福度調査の第5の分野は住居と環境です。
構成要素は「住居」「環境面の安全」「住居」に関する指標は、「1人あたりの部屋数」「住居に関する問題」を用い、「環境面の安全」の指標としては「殺人発生率」「大気汚染」という2つの指標を用いています。

「1人あたりの部屋数」は過密について調べています。レポートにはこうあります。

現代は多くの世帯で少子化が進ん でいる。今や兄弟姉妹の数は4〜5 人ではなく、兄弟姉妹がいても1人、 あるいはひとりっ子が当然になって いる。同時に、離婚や別居の増加、 家族構造の変化、家庭以外での子ど もの養育(社会的養護)の増大を背 景に、多くの子どもたちは昔よりも 著しく人数の少ない世帯で暮らして いる。それでも過密状態が続いてい る場合、それは子どもの幸福に影響 する重要な要因のひとつとなる。過 密によって、プライバシーや静かに 過ごす時間、勉強の機会などが失わ れるだけではない。育児行動や子ど もの認知・情緒面の発達に対する悪 影響を引き起こし、ストレスや行動障がいのリスクが高まるのである

所見には

▶ 1 人あたりの部屋数は 1.47(ベルギー)から 0.75(ハンガリー)まで まちまちである。
▶日本の順位は 15 位である。

とあります。

「住居の関する問題」とは、
1. 屋根の雨漏り、床や壁・基礎の湿り、窓の破損[雨漏り/すきま風]
2. 暗すぎる住居[太陽光がまった く入らない住居]
3. 浴室またはシャワーなし[家族専用の浴室またはシャワーなし]
4. 家族専用の屋内水洗トイレなし[家族専用トイレなし]

のうち2つ以上の問題があると答えた子どものいる世帯の割合で比較しています。

日本は 17 位にランキングされており、子どものいる世帯の4.7%が上記4つの問題のうち2つ以上の問題を抱えている。日本の子どものいる世帯が直面する問題は「太陽光がまったく入らない住居」が最も多く、次が「雨漏りまたはすきま風」となっている。
とレポートにあり、
所見には
▶アイスランド、ノルウェー、デンマークでは、住居に関する複数の問題を 報告した世帯が1%未満でトップとなっている。
▶日本は 30 カ国中 17 位で、平均程度の成績である。
▶日本より下位にランキングした国のほとんどが東欧諸国である。

とありますが、日本では4.7%の世帯が、住居に関する複数の問題を抱えているというのは意外です。

その他のリスク

2014/05/07

「日常生活上のリスク」分野、健康行動に関する指標の2つめは朝食をとる子どもの割合です。
朝食に関するデータ は、日本スポーツ振興センターが実 施した「平成 22 年度児童生徒の食事状況等調査報告書」によるそうですが、日本の毎日朝食をとる子ども(11、13、15 歳)の割合は、86.6%と30ヵ国の中で1位です。2位以下はオランダ2位(85.1%)、ポルトガル3位(83.2%)、デンマーク4位(73.5%)と続きます。下位では、アメリカ28位(50.6%)、ルーマニア29位(45.3%)、スロベニア30位(43.6%)となっています。下位の国々では半分以上の子どもが毎日朝ご飯を食べているわけではないのですね。それに比べると日本の86.6%の子どもたちが毎日朝ご飯を食べているというのは、すごいですね。

「日常生活上のリスク」分野の健康行動の次に示されている構成要素は、「子ども たちに対する差し迫った危険ならびに長期的な幸福に対する深刻な脅威となるような行動がどの程度広まっているか」ということで、リスク行動をとりあげています。指標としては、「10代の出生率」「飲酒する割合」の2つが用いられています。

10代の出生率は、15〜19歳の女子 1,000 人あたりの年間出生数を比較しています。所見には
▶スイス、オランダ、スロベニア、日本は10代の出生率が最も低く(1,000人あたり5人未満)、一方、英国、ルーマニア、米国、ブルガリアは10代の出生率が最も高い(1,000 人あたり29人超)。
▶日本は上位 3 カ国に僅差の第4位。

とあります。

飲酒する割合
飲酒する割合は週に1回以上飲酒していると答えた 11 歳、13 歳、15 歳の子どもの割合です。所見には
▶日本は子どものアルコール乱用率が最も低い。
▶31カ国中15カ国で週に1回以上飲酒している11歳、13歳、15歳の子どもの割合が 10%を超えていると答えているが、日本の割合は1.6%で、2位の国と比べてもかなり低い。

となっています。

暴力
子どもの幸福度を表す「日常生活上のリスク」の分野の最後の構成要素は、子どもや若者が生活の中で経験している暴力の程度である。暴力的な環境で成長すると、直接的な苦痛や負傷だけでなく長期的な問題(不安、鬱、問題行動、暴力的性向など)にもつながる危険がある

という理由で、「過去数か月に学校で1回以上いじめられたと答えた11歳、13歳、15歳の子どもの割合」で比較しています。
イタリア1位(10.9%)、スウェーデン2位(11.8%)、 スペイン 3位(14.6%) チェコ4位(15.6%)、 アイスランド5位(19.0%)となっています。日本は27.4パーセントで12位です。ルーマニア28位(41.0%) ラトビア29位(46.1%) リトアニア30位(53.6%)に比べれば日本の27.4%は低いのですが、全体の4分の1以上の子どもが、いじめを受けた経験があるというのは、日常生活上のリスクの分野の他の領域と比べると極めて大きな問題である。とレポートにもあります。

肥満 2

2014/05/06

ユニセフの「先進国における子どもの幸福度調査」で「日常生活上のリスク」という分野があり、健康行動という構成要素の指標として肥満児の割合があります。データを見ると、日本は肥満児の割合が4.9%と参加国中でも飛び抜けて低いのです。飛び抜けて高いアメリカの29.4%と比べると、すばらしい数字だと思います。
子どものころから肥満傾向の人は、大人になってもその傾向が続くと聞いたことがありますから、肥満因子は多くない方が良いとは思います。

厚生労働省発行の『日本人の食事摂取基準(2010年版)概要』には「エネルギー及び栄養素摂取量の多少に起因する健康障害は、欠乏症または摂取不足によるものだけでなく、過剰によるものも存在する。」とあります。昔は栄養が足りなくて、いかにしてエネルギーや栄養素を摂るか。ということが重要視されましたが、今は、摂りすぎにも気をつけないといけないのです。もちろん不足していることもあるので、そちらも気をつけた方が良いでしょう。

この調査は、肥満児の割合なので、肥満の人が少ない方が良いのだと思いますが、「やせ」についてはどうなのでしょう。最近は太っていることを極端に気にして、過剰に「やせたい」という思いを持っている人が、特に若い女性を中心に多いと聞きます。そういう価値観を持つ人が多くなると、子どもたちもそう考えるようになるのではないでしょうか。小学生たちが、ダイエットしなきゃといった話をしていたのを聞いたこともあります。

この調査の「健康と安全」分野は前に紹介しましたが、日本は低出生体重児出生率がとても高いのです。もう一度レポートを引用すると、

日本は最下位に位置づけられてお り、低体重で生まれた子どもの割合が27カ国中で最も高い。また、日本は低出生体重児出生率が過去30年間でほぼ倍増している (1970 年代後半の5%から2000年代後半には約 10%)が、これは先進国の中でも特異である。専門家はこの上昇について、低体重の女性の増加、若い女性の喫煙の増加、妊娠中に厳格な食事管理を行う傾向、所得格差の拡大など様々な原因を挙げている

とあります。低体重の女性の増加や妊娠中の厳格な食事管理というのが、太りたくない。という思いが原因であるなら、憂慮すべきことだと思います。

肥満児の割合が低いことが直接「やせ」が多いことには結びつかないので、このデータからそこまで考えるのは考えすぎかもしれませんが、そんなことを思ってしまいました。

肥満 1

2014/05/05

『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較特別編集版』にもどると、「教育」分野のつぎは「日常生活上のリスク」という分野です。構成要素には健康行動、リスク行動、暴力という3つがあげられています。そして、それぞれ、健康行動には、肥満児の割合、毎日朝食をとる割合という指標が、リスク行動には10代の出生率、飲酒する割合という指標が、暴力には、いじめを受けたことのある子の割合という指標が用いられています。

「日常生活上のリスク」について、レポートにはこう書かれています。

「子どもの幸福度を表す第4の分野は、物質的豊かさや健康、教育といっ た分野よりも把握するのが難しい。 この分野には、現在および将来の子どもの幸福に極めて重要な意味を持つ一連の習慣や行動が含まれる。」確かに心身の健康は現在および将来の子どもの幸福に極めて重要な意味を持ちます。

データを見てみましょう。
まずは、健康行動の「肥満児の割合」です。肥満児の割合は、11、13、15 歳の子どもたちの自己申告による身長と体重から算出した肥満度 (BMI)によって測定されています。

測定所見に、

▶子どもの肥満率は、日本、オランダ、スイス、デンマークを除く各国で10% を上回り、カナダ、ギリシャ、米国では20%を超えている。
▶日本の子どもの肥満率は極めて低く、5%未満である。

とあるように、外国では肥満児の割合がとても高いのには驚きました。
日本 1位(4.9%) オランダ 2位(8.4%) スイス 3位(8.7%) デンマーク 4位(9.3%) フランス 5位(10.6%)であり、5位のフランスでさえ、10%を超えているのです。そして、スロベニア 26位(17.9%) ポルトガル 27位(18.7%) カナダ 28位(20.2%) ギリシャ 29位(21.0%) 米国 30位(29.4%)というのが下位の国々の結果です。
20%を超える国が3ヶ国あり、最下位のアメリカに至っては29.4%と3割近い子どもが肥満なのです。3割は多いように思います。

*太字は『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較特別編集版』よりの引用です

PISA 5

2014/05/04

PISA調査では、得点や習熟度レベル別といった調査だけではなく「学習の背景要因」も調査しています。

生徒を対象に生徒自身及び学習環境等に関する情報を収集する生徒質問紙について は、2012 年調査ではじめて、質問項目の組み合わせによって 3 種類で実施。各生徒は そのうちの 1 種類の質問紙に回答。また、校長を対象に学校に関する情報を収集する 学校質問紙は、従来通り 1 種類。それぞれ回答時間は約 30 分程度。

という調査方法で調査しています。

「生徒の数学的リテラシー得点に影響を与える動機付け・自己信念」
生徒質問紙において、
1. 数学における興味・関心や楽しみ
2. 数学における道具的動機付け
3. 数学における自己効力感
4. 数学における自己概念
5. 数学に対する不安
の5つの要因に関する質問をした。日本の生徒の肯定的な回答の割合は OECD平均よりも少なく、65か国中でも少ないが、2003年との比較では「数学における興味・関心や楽しみ」に関する全4項目、「数学における道具的動機付け」に関する全4項目、「数学における自己効力感」に関する全8項目中6項目で、肯定的な回答の割合が増え、統計的な有意差がある。

とまとめられています。しかし、5つの項目全てについて「肯定的回答が、OECD平均よりも少なく、65ヵ国中でも少ない」というのはちょっと困ったことなのではないでしょうか。「数学における興味・関心や楽しみ」指標や「数学における道具的動機付け」指標、「数学における自己効力感」指標では2003年よりも肯定的な回答が増えてはいますが、まだまだ低い状態です。全体として成績が良いのにもかかわらず、興味・関心や楽しみが少なかったり、道具的動機付けや自己効力感、自己概念が低く、不安も小さくないというのは、どういうことなのでしょうか。テストに出た問題は解けるけれども、興味関心を持って楽しんで取り組んでいるのではない。そうであれば、義務感ややらされ感で数学を学んでいるのでしょうか。ここの興味・関心、楽しみ、自己効力感などの動機付けや自己信念がしっかりとしていて自信をもって取り組むことができることが大切なのだと思いますが。

*太字は『イノチェンティ レポートカード 11 先進国における子どもの幸福度―日本との比較特別編集版』よりの引用です

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