園長ブログ

おべんとう day 5

2014/06/24

「ありがとうございました。」手をあわせて一礼する子どもたち。龍神様にモリアオガエルのたまごを観察させていただいたお礼をいって、池を後にしようとしました時、私はあることを思いつきました。せっかくここまで観察に集中してきて、子どもたちの心も落ち着き、静かにする雰囲気にもなっているのだから、この機会に静かだからこそできる「聞くこと」に集中する機会を作ってみても良いかもしれないということです。特に人工的な音が少ない場所に来ているので、他の場所よりやってみる価値はあります。
普段私たちは、多くの情報を視覚から得ています。時には、敢えて視覚情報を使わずに他の感覚を意識して使うことも必要かもしれません。

そこで、子どもたちに「目を閉じて、音を立てずに、どんな音がするか耳を澄ませて聞いてみてくれる。」と頼んでみました。子どもたちはすぐに目を閉じて聞いていました。もちろん話をする子は1人もいませんでした。

おべんとう day 4

2014/06/23

      たくさんあるね

龍神様にご挨拶をしてから、モリアオガエルのたまごを探して池の周りを歩き始めました。早速、モリアオガエルのたまごが枝にくっついているのを見つけた子が、思わず「あっ!」と声をあげるみんな一斉に「しー!」 静かに!という合図を送ります。声を出した子は慌てて口を押さえていました。

たまごがいくつあるか数えようとしましたが、多すぎて数えられません。子どもたちの目はするどくて、たまごによって色や大きさが違うことなどに疑問を持ちながら観察していました。そのうちたまごって固いのかな?やわらかいのかな?と言いだしたので、

    白い花が咲いたようです

子どもが触れる高さにたまごがないか探すと、枝を少し引っ張れば触れるのをみつけました。子どもたちと触ってみると、表面は少し乾燥してパサパサした触感になっています。

こんなにかたいのにたまごはどうやって出るのだろう?と疑問を投げかける子がいると、みんな頭の中は???だらけになってしまいました。いろんな疑問が上がったところで、それらを整理して園に帰って図鑑や解説書で調べてみることにしました。

もちろん大人が知っていることを教えてあげることもできるのですが、今回はできるだけ自分たちで調べて欲しいと思ったので保育園に帰って調べることにして観察終了。

30分くらい池の周りにいましたが、その間子どもたちはずっと静かにしていました。普段はおしゃべりが大好きなみんなですが、このときばかりは必要なこと以外は話さずに観察に集中していた様子でした。

おべんとう day 3

2014/06/22

山の上にある池にモリアオガエルのたまごを見に行こうと、意気揚々と出かけた5歳児たち。池には龍神さんがいるかもしれないと聞いて、少し顔つきが変わりました。決して怖がっているわけではなく、少し神妙な面持ちになったのです。そして池に向けて、最後の坂を登ります。抜き足差し足といった感じで、声も出さずに一歩ずつ歩みを進めます。聞こえるのは土を踏みしめる音だけ。

長い坂を登り切ると池が見えてきました。もう一度立ち止まり、子どもたちと口に人差し指を当てて「しー」と合図をしあってから、池の近くに進みます。先ずは龍神さまをお祀りしているお社の前で「龍神さま龍神さま、これから鞍馬山保育園のゆりぐみの子どもたちがモリアオガエルのたまごを観察させていただきます。よろしくお願いします。」と言って一礼すると子どもたちも深々と頭を下げていました。

龍神様にご挨拶をしたら、いよいよ観察です。

おべんとう day 2

2014/06/21

モリアオガエルのたまごの観察に行くことになった5歳児たち、事前にいろいろと調べたり、話を聞いたりして想像や期待が膨らんでいることに加えて、おべんとうを食べて午後も活動するということ自体がいつもと違うことなので、かなり興奮気味です。山を歩いている途中もおしゃべりが止まりません。

このままモリアオガエルのたまごを見に行っても、観察に集中できないかもしれないなー。と少し心配になったので、子どもたちに気持ちを切り替えて落ち着くきっかけになることはないかと考えました。

まずは池に近づく少し手前で立ち止まり、子どもたちに池のことを説明します。今から行く池は、龍神池といって龍の神様がいらっしゃると言われている池です。もしかしたら龍の神様が寝ているかもしれないから、大騒ぎすると起こしてしまう。といった意味のことを説明して、「龍の神様を邪魔しないようにするにはどうすれば良いかな?」とたずねると「静かにす!」「大きな声を出さない!」「(音を立てないように)ゆっくり歩く!」と子どもたちが小声で答えてくれました。もちろん私も小声で質問しています。

保育者には大きな声が必要だと思われがちですが、子どもの声が大きいからと言って、大人がさらに大きな声をかぶせて話すと、子どもの声は、更に大きくなることがよくあります。ですから、敢えて小さな声で話すことで、子どもは耳を澄ませて聞いてくれることがあります。もちろんいつもそうだとは限らないのですが・・・
小声で話すことで、みんなが気持ちを集中して聞こうとするので、ちょっとした一体感が感じられることもあるのです。

子どもに何かを伝えるときもいろいろな方法があります。大きな声で、子どもに聞かせようとするのではなく、小さな声で子どもが聞きたくなるように話したいな。と心がけています。子どもが「聞きたい」と思っているときが、一番聞いてくれると思うからです。

おべんとう day 1

2014/06/20

お家の方の手作りのおべんとうを持って出かけたおべんとうデー。3・4・5歳児は鞍馬山を思う存分楽しんでいました。お寺の本殿前でおべんとうを食べたあと3歳児、4歳児は園にもどり、5歳児はもう一度山の中へ。

実は彼らには目的があったのです。お寺の参道からはずれた、普段は一般の人は入れないところにある池に行くのがその目的です。参道ではないので立入が制限されているのですが、お寺にお願いして許可をいただいて行きました。そこまでして池に行きたかったのは、そこにはモリアオガエルのたまごがたくさんあり、その様子を観察したかったからです。

子どもたちはずいぶん前から絵本を読んだり、図鑑や資料を調べたり、モリアオガエルについてみんなで話したりしていました。ですから、子どもたちの期待は否応なく高まります。前にもこのブログで紹介しましたが、モリアオガエルは池のうえに貼り出した木の枝に、泡状のたまご、正確には粘液で作った泡のかたまりの中にたまごが入っているものを産み付けます。その泡のかたまりの中で、たまごがかえっておたまじゃくしになり、泡から池に落ちるのです。この時期お寺の池にはこのモリアオガエルのたまごがたくさんついて、まるで花が咲いたようです。
このモリアオガエルを最初に発見したのは学生さんで、クラマアオガエルという名前をつけていたのですが、発表をしなかったので、後からつけられたモリアオガエルという名前が正式名称になったという話を聞いたことがあります。ずっと前からその池ではたくさんのモリアオガエルが産卵していたのでしょうね。子どもたちは、そのモリアオガエルのたまごの様子を見に行きたかったのです。

発想

2014/06/17

お家の人に作ってもらったおべんとうを持って、園外保育に出かけたり、おべんとうを楽しんだりする、おべんとうデー、雨に降られることが多いのですが、6月のおべんとうデーは清々しお天気に恵まれました。3・4・5歳児は歩いてお寺に行って奥の院方面まで、足をのばして山頂付近の木の根道まで行きました。
そこで、
1. 木の根道付近で遊ぶ
2. 少し離れた大杉権現付近で遊ぶ
3. ちょっと離れた不動堂付近まで行ってみる
の3つの選択肢の中から、自分の好きな遊び場所を選び、それぞれに活動していました。

低い木に登ってみたり、落ち葉や木の枝、小磯などを集めてベンチの上に並べ、お店を開店していたり、様々な遊びが展開されていました。子どもは様々なところから遊びを作り出します。その発想にはいつも驚かされます。

子どもは、とてもユニークで大人には考えつきそうにないことを考えます。つながりそうにもない物や事を関連づけたり、大人には想像もつかないところに想いが飛びます。
それは、脳の神経細胞の刈り込みが進んでいないため、ネットワークが未分化で、情報が様々な経路を伝って流れるからだ。という話を聞いたことがあります。それに対して、大人は情報の流れの道筋がある程度決まっているので、論理的に考える事ができますし、ものごとを順序立てて行ったり、段取りすることが子どもよりも容易にできるのだそうです。

そうだとすると、大人と子どもは得意なことが異なるだけで、優劣があるわけではありませんね。子どもには大人には真似のできない豊かな発想ができるのですから。

おべんとう

2014/06/16

当園には、おべんとうデーという日があります。2カ月に1回程度、お家の方の作ってくださったおべんとうを持って園外に出かけます。おべんとうがないと、お昼ごはんを食べるために園にもどってくるので、あまり遠くまで行くことはできませんが、おべんとうをもっていれば、遠くまで足を伸ばすことができます。なにより、子どもたちはおべんとうが大好きです。遠くまで行くことができない乳児クラスのお友達は園でおべんとうを食べる事が多いのですが、自分のおべんとうをひろげるのはワクワクするようです。

おべんとうと言えば、最近日本のおべんとう文化が海外でも注目されているようです。もちろん食事を容器に入れて持ち出すことは世界中で行われているでしょうし、ファーストフードのテイクアウトも食事を持ち出すものです。奥さんがご主人のために、お母さんが子どもたちのために、(もちろん逆もあります)作るお弁当が日常的なのは、外国ではめずらしいのかもしれません。海外在住の日本人の奥さんが、ご主人のために毎日作るお弁当が、ご主人の会社で注目の的になったという話も聞きます。京都には、お弁当箱をはじめとしたおべんとうグッズの専門店がありますが、そのお店のオーナーはフランスの方なのだそうです。ネット販売を始めたところ、世界各国から注文が来ているそうです。

最近の子どもたちのおべんとうの特徴と言えば、やはり、キャラ弁でしょう。園児達のおべんとうもとてもかわいらしいものが多いです。お母さん(時にはお父さん)は大変だろうなと思いますが、キャラ弁も子どもたちが楽しくおべんとうを食べる事ができるように、少しくらい苦手なものでも喜んで食べられるようにとのお母さんの願いの現れでしょう。そういえば、たこウインナーなどは昔からありました。あまり負担になりすぎるのは大変かもしれませんが、お母さんも作っていて楽しい、子どもも楽しく食べられるというのなら、遊び心満載のキャラ弁は楽しくて良いのではないでしょうか。

いろいろなことを楽しくできる工夫は遊び心から生まれます。○○でなければならない!子どもには教え込まなければならない!ではなく、遊び心いっぱい、いろいろなことを大人も子どもも楽しくできることが大切だと思います。

待つ

2014/06/15

ある日の夕方、子どもたちもほとんど帰ってしまって、2〜3人が園でお迎えを待っていました。そこへSちゃんのお母さんがお迎えに来られ、保育士の先生とにこやかに笑いながらしばらく話をしていらっしゃいました。Sちゃんもその近くで楽しく遊んでいます。とてもほのぼのとしていて、近くにいた私も温かい気持ちになりました。

出かけなくてはならなかった私は、そこから離れるのが残念な気持ちで園を後にしました。

しばらく歩くと、前の方に小さな女の子がひとりで立っています。こんな時間にどうしたのだろう?もしかして迷子?それとも園児さん?目を凝らしてみますが、よくわかりません。近づいて見ると園児さんでした。幼児クラスのCちゃん、今にも泣き出しそうな顔をして、ひとりで立っています。少し前にお母さんと一緒に帰ったはずなのにどうしたんだろうと思い、「どうしたの?おかあさんは?」と聞くと、泣き出しそうな声で、「Sちゃんに、これをあげたいの!」とお菓子を見せてくれました。よくよく聞いてみると、Sちゃんからお菓子をもらったので、自分もお返しにお菓子をあげたいと思っていたようです。
お母さんを探すと、近くに駐めた車の中で待っていらっしゃいました。乳児クラスの妹さんも一緒なので、お母さんは車を離れることができなかったのでしょう。

Cちゃんと一緒にお母さんの所へ行って、Sちゃんに合うために一緒に園にもどることを伝えてから、Sちゃんを待ちながら園にもどろう歩き始めました。すると前からSちゃんの姿が、ぱっと顔が明るくなったCちゃん「Sちゃーん」と呼びながら、走り出しました。Sちゃんも小走りに近づいてきて、驚いた表情で「どうしたの?」と聞いています。「これあげる」Cちゃんが差し出したお菓子を、嬉しそうに受け取るSちゃん。やっとお菓子を渡せてにこにこ顔になったCちゃん。2人並んで楽しそうに歩いて行きます。

Cちゃんをお母さんのところまで連れて行くと、お母さんは丁寧にお礼を言ってくださいました。
Cちゃんの優しい気持ちがとてもステキだと思いました。もっとステキだと思ったのはお母さんの姿勢です。「もう忙しいんだから早く帰るよ!」と叱って車に乗せるのではなく、Cちゃんの思いをしっかりと受けとめ、心配もあったでしょうけれどCちゃんを信じて、待っていらしたお母さんの姿勢に心を動かされました。そんな想いを込めて、お母さんに「ありがとうございます」とお礼をいいました。

我が子をまるごと信じて見守る。なんてステキなんでしょう。

ハンバーガーやさん 6

2014/06/14

そうやって、ハンバーガーやさんのお店ができました。当日登園してきた子どもたちは、「なにこれー!」「ハンバーガーやさんって書いてあるで」と興味津々です。「先生方も、ステキなお店ができましたね。」と喜んでくれました。調理の先生達は朝早くから忙しそうです。

ハンバーガーやさんのルールはこうです。
開店時間は11時から12時30分。
お店が開いている間に、友だちを誘って3人以上でお店に来ること。
そして、3種類のハンバーガーから1種類を選ぶこと。
2つ、3つ目が食べたいときは、まだ食べていないものを選ぶこと。

そんな説明を聞いて園庭に遊びに行った子どもたちですが、ハンバーガーやさんの様子が気になって仕方がないようで、11時に開店したハンバーガーやさんには、早速子どもたちがやってきました。「ハンバーガーください」グラタンバーガーください」「とうふハンバーガーください。」と思い思いに注文しています。1つ食べ終わったら、もう一つ食べようかなと考えたり、考えるまでもなく2つめを注文しにいって、残り2種類のどちらにしようかと悩んでいる姿もありました。パンを小さくしたこともあって、子どものおなかのすき具合によっては3種類全てを食べる事もできるので、3種類とも食べていた子もいました。
私もハンバーガーをいただきましたが、3種類ともとても優しくやわらかな味で、あっという間に3つ全部を食べてしまいました。

もちろん子どもたちも、思う存分ハンバーガーやさんを楽しんでいました。
子どもたちが食べる事を楽しんで欲しい!そんな調理の先生の願いが、また一つ形になった取り組みでした。

開店!○○バーガーの表示には、使われている食材のイラストが!

ハンバーガーやさん 5

2014/06/13

ハンバーガー屋さんのおみせ作り、どんな風にしようか、どうやって作ろうか考えるのが楽しくてワクワクしていたのですが、どうやってテーブルに枠を組み付けると良いのか、なかなか良い案が出てきません。そんなとき、たまたまテレビを見たら、百円ショップで売っている突っ張り棒やメッシュパネルを結束バンドで固定して棚などを作るという番組をやっていました。これでやってみようと、早速ホームセンターに骨組みにする木材と結束バンドを買いに行きました。

ハンバーガーやさんが開店する前日の夜、誰もいないランチルームで、おみせ作りを始めました。木材を適当な長さに切り、結束バンドを使ってテーブルに固定してみました。案外しっかりと固定でき、仮止めで微調整してから、しっかり閉めて固定できるので、融通がきいて気軽に取り組めます。木ねじをつかうと、最初からきっちりとしないとできませんし、時間もかかります。「結束バンド、なかなか使える!」と思いながら組み立てていたら、1時間くらいでハンバーガーやさんのお店ができてしまいました。最後に調理の先生が作ってくれた「ハンバーガーやさん」の文字を軒先に取り付けて完成です。
明日の朝登園した子どもたちはどんな顔をするのかなーと思うと、とても楽しくなります。

こんな楽しさ、他の先生方にも味わってほしいなと思っていたら、ふと浮かんできた考えがありました。自分が楽しむのも良いけれど、自分だけが楽しんで自己満足してしまうのではなく、こういったことが得意な先生に任せてやってもらうことで、私ではなく、他の先生方にたのしんでもらった方が良いのではないか。自分がひとりで楽しんでしまうことではなく、みんなが楽しめるようにすることが私の役割なのではないかということです。

でも、わたしも少しくらい楽しませてもらってもいいですよね?

    おみせができました

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