お寺に職場体験に来ている中学生の活動についてお伝えしています。前回は、午前中に行っている写経などの様子を書きましたが、午後は日によって内容が異なります。掃除だったり、山内の巡拝だったりするのですが、鞍馬の動植物についての調査研究を担当していらっしゃる方々から自然の話を聞く機会もあります。今回は話しだけではなく、実際に体験もしました。そのひとつは越冬するコウモリ探しです。お寺の建物のひとつにヒナコウモリというコウモリが毎年越冬する場所があります。(ヒナコウモリが一定の場所で越冬するのがわかっているのは、かなり珍しいようです)そこで、どこにコウモリがいるかを調査して記録をつけるという体験です。
建物の建具の隙間に入って越冬しているヒナコウモリを3頭見つけていました。ひとつの部屋は直前まで作業が行われていて暖かかったので、しばらく見ていると少し動いたり、チッチッチと鳴いたりしていました。
私自身そこでコウモリが越冬をしていることは知っていましたが、あまりじっくりと見たのはなかったので、とても興味深く見ることができました。
もうひとつは、お寺の中にある博物館に行って自然科学系の展示を見ながら説明を聞きました。
中学生の中には虫が好きではないという子がいて、気持ち悪いなどと言っていましたが、指導いただいている方から、どんな生き物もみんな何らかの形で関係しているので、極端なことをいえば、今気持ち悪がっている蛾が絶滅すると人間も生きてゆけないかもしれない。という説明を聞いて中学生は少し驚いていました。
虫が嫌いというのは幼い頃の環境によるところが多いと思います。まわりの人が気持ち悪いとか怖いといっているのを聞きながら育つと、嫌いになるのだと思います。みんなが虫を好きになる必要はないとは思いますが、幼少期の環境や体験が影響するのだと思います。
説明を聞いてから、昆虫標本のつくりかたを教えていただきましたが、標本にしているのは、主に窓辺で死んでいたりする虫を使うようにしているという話を聞き、死んでしまった虫も標本という姿になって、次のいのちを生きている(役割を果たしている)のだなと思いました。
中学生が、「こんな考え方もあるんだな」と感じてくれるといいなと思います。