今年度の初め、保育士たちが花壇を作ろうと話し合って、園庭に小さな花壇ができました。
どんな材料を使って花壇の枠を作るのかいろいろと考えて、一人の保育士が子どもたちが毎日乗っている叡山電鉄の枕木を使うというアイデアを出して「それいいね!」とみんなの意見がまとまりました。
翌日、電車で出勤した保育士が早速運転手さんに枕木のこと話したようで、数日して担当課から電話がありました。
古い枕木を頒布しているので、都合の良い日に取りに来てもらえれば良い。ただし1本100キログラム近い枕木をフェンス越しに積み込まないとならないので、積み込み用クレーンのついたトラックが必要との話しでした。トラックはあってもクレーン付きとなると考えないといけないので、検討して連絡することにして電話を切りました。
どうしようかと考えていたら、再度電話があって、「ゴールデンウイーク明けに持って行きます。何本くらいいりますか。」とのこと。驚いた私は、配達なんてしてもらえないはずなのに良いのかな?と思い、「それは申し訳なのでなんとかトラックを手配します。」というと、「いつもお世話になっている鞍馬山さんのことですから!」とおっしゃってくださいます。確かに電車で通園している園児はいますが、そこまでしていただくのは申し訳ないとも思いました。でも、せっかくのご厚意なので甘えることにしました。
何でも自分でやろうとするのも良いけれども、できないことはあまり無理せず、力を貸してください。とお願いするのも必要なこと。自分にできること、できないことをしっかりとわきまえていて、できないことはできる人に素直に「お願いします」と頼めることが自立しているということ。と言う話しを聞いたのを思い出しました。人のつながりが希薄になってきている今、あえてつながること、助けてもらうときは助けてもらうこと、助けられるときは助けることも必要なのかと思います。
そして、ゴールデンウイーク明けのある日の朝、叡山電鉄の方3人が枕木を届けてくださったのです。男性保育士も手伝って園庭まで運び込んでいただきました。ほんとうにありがたかったです。10本近く運んでくださったので、とりあえず園庭に並べたら、子どもたちは早速ステージに見立てて、その上で歌を歌ったていました。
その日電車で帰る子どもたちに「今日、保育園に来た枕木と同じのが、みんなの乗る電車の線路を支えてるよ。」と保育士が説明すると子どもたちは納得していたそうです。
後日、お寺の管理部の皆さんの力を借りて小さな花壇ができあがり、一人の男性保育士が花を買ってきて一生懸命植えていました。花の元気がなくなったこともありましたが、少し植え足したりして今ではかわいらしい花が元気に咲いています。
一人の保育士がアイデアを出し、それを電車の運転手さんに伝えた別の保育士がいて、叡山電鉄の皆様のご厚意により枕木、それも子どもたちが毎日乗っている電車の枕木が届き、お寺の職員さんの力を借りて花壇ができる。いろいろな人がつながり、力を合わせてできあがった花壇に咲く花はひときわ美しいように思います。
叡山電鉄の皆さん、花壇作りに関わってくださったみなさんありがとうございました。