研修に参加して聞いた睡眠の話しから、健全に眠ることの大切さを改めて感じました。「脳を創り、脳の働きを育て、脳を守る」といわれ、脳の働きと大きく関わっている大切な睡眠、発達期にある子どもたちの大切な睡眠が危機に瀕しています。
3歳以下の子どもたちが1日に何時間寝るかを国ごとに調べた結果があり、日本は11時間半強で世界でも群を抜いて短くなっています。データとしてあがっていた17の国の中では最短です。一番長いニュージーランドの13時間15分くらいと比べると、一日あたり100分くらいも短いのです。最短が日本で、次にインド、韓国、台湾と続いています。逆に睡眠時間が長い方から並べるとニュージーランド、オーストラリア、UKと続いています。地域性や、人種、文化による差も多少はあるかもしれませんが、100分の差は大きいと思います。日本の子どもたちは睡眠不足の状態に陥ってきていると言えます。
睡眠の発達は、新生児は2〜3時間おきに起きるものの1日中眠っているような状態ですが、4〜6か月くらいになると、少しずつ昼夜の区別が出てきて、1歳頃には昼夜のリズムに同調するようになってきます。1〜2歳になると、夜寝ると朝まで目を覚まさないで眠ることができるようになります。これは体内時計が地球の24時間リズムに同調するようになってくるからです。3〜4歳には夜の基本的睡眠時間は10時間くらい、1〜2時間のおひるねをして1日の睡眠時間は11〜12時間、昼寝が少しずつなくなって、学童期には8.5〜10.5時間の睡眠時間になります。
今の子どもたちの睡眠の問題は、睡眠不足の慢性化と蓄積で、それが体内時計を破壊し、様々なリズムが崩れてしまいます。このリズムの乱れが、今増えているという発達障害や、自閉症と深く関わっていることがわかってきたようです。ADHDと診断された子どもの25パーセントに睡眠障害があるという調査結果もあるそうです。
社会生活が夜型にシフトしてきて、お父さんは夜遅くまで残業、夜中でも昼間のように明るい商業施設が至る所にあって小さなこどもが平気でそういうところで過ごしている状況が、子どもにとって良いはずはありません。夜中に小さなこどもを連れてのコンビニ、お風呂に入れる、寝ている子を起こして遊ぶ、居酒屋に連れて行くなど子どもの夜更かしは脳の発達にとって有害であり、もってのほかだと、講師の先生はおっしゃっていました。
一番問題なのは慢性的な睡眠不足で、何日も眠らないことより危険なのだそうです。慢性的な睡眠不足が記銘・記憶を司る海馬の発達を抑制する。体内時計を破壊し生体リズムが乱れ、疲労感が強く日常生活にメリハリがなくなる。その結果脳の働きのバランスが崩れて、幼児期では機能の落差が大きいと発達障害的症状が現れ、学童期以降では、朝起きられず、学習困難、疲労感が強く不登校状態となるそうです。
大切さはわかっているつもりなのに、ついつい不規則になりがちな睡眠をもう一度見直した方が良さそうです。