少し前からネムノキが花を咲かせています。子どもたちが通園してくる道にも大きな木があり、道ばたに花がたくさん落ちていました。白からピンクへのグラデーションが美しく、ふわふわとやさしい感触の細い毛で作った刷毛のような花です。正確にはあの細い毛のような部分は雄しべだそうで、花弁はその付け根あたりにあり、花が咲くと先に雄しべが伸びて後にめしべが伸びてくるそうです。
子どもたちが落ちていた花をたくさん拾ってきて、いくつか私にくれました。鼻を近づけてみると、くだもののようなとても甘い香りがします。薄い色の花と甘い香りにスズメガが近づいて来て花粉を運ぶので、花は夜に咲くと言われていますが、昼間も咲いているように見えます。開き始めるのが夕方だということなのかもしれません。甘い香りはしますが、実際に密がある花は限られているそうです。全ての花に蜜を持たなくても、効率よくスズメガに花粉を運ばせるネムノキノ戦略なのでしょう。うまくできているものだと感心します。
どの種も遺伝子を残すために様々な戦略を立てて他の動植物の力を借り、時には利用して、うまく支え合って生きているのです。人間のように考えてそうしているわけではないのに、そういう進化を遂げさせる要因は何なのか、不思議に思えてしまいます。いろいろな戦略をとる種がいて、たまたま生き延びるのに成功した種が残っているということなのでしょうか。
社会を作るという戦略をとることによって進化してきた人間は、切り札のはずの「社会を作る」ことが危うくなってきているようにに感じてしまいます。このままで良いのでしょうか。
ネムノキの名前の由来はやはりその葉にあるようです。夜になると葉を閉じて眠るような姿になります。夕方薄暗くなってからネムノキを見てみると葉が閉じて眠ったようになっています。この眠っている姿を子どもたちが見て、不思議だと思ったり、なにかを感じてくれると良いと願い、子どもたちが見られるようにするにはどうするか考えてみようと思います。