野菜を育てるだけでもそこからいろいろなことを学ぶことができます。畑といっても、様々な形態があり、作物を育てる方法があること。種にも自然に作物が育って実を結ぶことでできる種と、人間が改変を加えて作った種があるり、交配でも今はバイオテクノロジーを使って、自然の状態では交雑することのない品種同士をかけあわせることで作られていることなどなど、たどってゆけば、とても奥が深いようです。
私が知らなかっただけかもしれませんが、私たちがあまり気がつかないところで、新しい品種といって一代限りの不自然な種が作られ、その種からとれる作物を食べているのです。そして、そういう品種を育てるためには大量の化学肥料と農薬が必要でそれを使うことによって肝心の土が硬くなって死んでしまうそうです。
実は土の中には膨大な種類の生物が生息しています。山の土を少しとって紙の上に置いてよく見るとそこには目に見えるだけでも様々な虫がいます。土の表面にいて、人間が見ることができる虫だけでもそうなのですから、土壌の深いところまでの菌類をはじめ人間の目に見えないものまでを考えたら、多種多様な生き物がいるのだと思います。足下の土の中に生き物の宇宙が広がっていると言っても良いかもしれません。
土の中の多種多様な生き物がお互いに自らの役割を果たし、助け合うことで、いのちを育むと同時に、いのち尽きたものを土に還すことをしています。こうしたいのちの巡りがあることが自然なのでしょう。
そんな土の中の宇宙にいらなくなったものをどんどん捨てることはやめた方がよいのかもしれません。星新一さんのショートショートに「おーい でてこーい」というのがありました。ある日地面に穴があいているのが見つかり、何を入れてもいっぱいにならないので、どんどんごみを捨てていたら、後で自分たちの捨てたごみが空から降ってきたという話しだったと思います。話しがそれました。
均質な作物を工業製品のように大量に作り出すことは、一時的には収量が上がり利益も増えるかもしれませんが、長い目で見れば、肝心のいのちの巡りを断ち切って土の下の宇宙を破壊し、結局は破綻してしまうのです。
どうも目に見えるものごとだけを短期的なスパンで、見てしまいがちな気がします。目に見えないところを含め、長い時間のスパンでものごとを考える必要がありそうです。