今頃になると、カエルの活動が活発になってきます。お寺の参道沿いの水があるところでクォクォと鳴き声がするので、たいていの人が立ち止まって、耳を澄ませていらっしゃいます。しかし、多くの人がカエルだとは気付いていらっしゃらないようで、「なにかなー?」と首をかしげながら聞いていらっしゃいます。
「カエルですよ」と教えてあげると、「カエルですか?」と驚かれる方が多いのに驚きます。中には、「スピーカーで鳴き声を流しているのですか?」とたずねられることもあって、さらに驚きます。鳴き声の主はタゴガエルというカエルです。タゴガエルはあまりカエルの鳴き声には聞こえにくいのかもしれませんね。ちょうどこの季節は産卵期で、山の中の伏流水などに産卵します。声が聞こえるのも、豊富に水があるとは思えないようなところなので、オタマジャクシはちゃんと育てるのかなと心配してしまいます。
園児たちも散歩に行くと声が聞こえるので、興味を示して立ち止まり、しばらく鳴き声に聞き入っています。ところが姿はなかなか見ることができません。狭い岩の間に入り込んでいるようです。いつも、鳴き声は聞こえるのですが、姿はほとんど見たことがありません。
カエルというと忘れてはならないのがモリアオガエルです。池の上に突き出た木の枝などに泡状の卵塊を作る種類のカエルです。山にモリアオガエルがたくさん産卵する池があり、以前は数え切れないくらいの卵塊を産み付けていましたが、最近はかなり少なくなってしまいました。
一匹の雌と複数の雄が協力し、雌がたまごを産み、雄が粘液を後足でかき混ぜてあわを作ります。時間が経つと泡の外側が乾いて難くなり、中の卵を包むように守るのです。あわは卵のゆりかごですね。卵はあわの中でオタマジャクシになり、雨で卵塊が崩れるのと一緒に水の中に落ちてゆきます。モリアオガエルは美しい緑色をしていて産卵の時期になると水辺に集まって来ます。普段はどこでどう過ごしているのかよくわかりません。今年ももう少し卵塊が増えたら子どもたちと見に行ってみようと思います。