食べるということは大切なことだというのは、みんなよくわかっています。では、何をどう食べるのか・・・
今は、お金さえ出せばいつでも好きな物を買って食べられるようになりました。食材を作ることはもちろん、調理をしなくても、深夜でも早朝でも、できあがったものを買うことができます。「あたためますか」と聞いてもくれます。
それだけ簡単に食べ物が手に入るようになると、食べ物のことをあまり気にかけなくなります。もちろんおいしいものを食べたいという欲求はあるとは思いますが、どうすれば野菜が育つか、この魚はどこからきてどのように調理されたのか、別に気にしなくても空腹は満たせます。調理をすれば、気にせざるを得ないことがそうしなくてすむのです。ついつい便利さにまけて、できあいのもので食事を済ませてしまいがちなのもよくわかります。しかし、こればかりになってしまったら、家で料理をする人がいなくなってしまいます。子どものままごとのモデルもいなくなるのです。何よりも身体にとってどうなのでしょうか。日本が誇る食文化はどうなってしまうのでしょうか。空腹を満たすこと、栄養補給だけが食事の意味ではないはずなのに、このままでは食に関する子どもたちの関心がどんどん薄れてしまいそうです。
私が小学生の頃は、土曜日が「半ドン」といって午前中だけで学校が終わり、家に帰ってお昼ごはんを食べていました。両親とも仕事をしていたので、私は土曜日の昼食はいつも弟と2人で、なにかしら作って食べていた様に思います。そんなときモデルにするのが親が作っていた料理です。どんな材料を使ってどれくらいの大きさに切って、どう調理すると良いのか、見よう見まねで覚えていたのだと思います。親が家で料理をしないと、子どもたちはそんなことも学べなくなってしまいます。
まずは、子どもたちのなかで、食べるということが、あたりまえのことではなく、興味関心を持って欲しいと思います。野菜がどうやって育つのか、どんなに手間暇をかけて育てるのか、肉や魚は・・・ どんな調理をすれば、どんな味になるのか、子どもたちの興味を引きそうな楽しいことは、たくさんあります。