ようやく鞍馬でも桜が咲き始めました。お寺の本殿前のソメイヨシノが一輪花をつけているのを昨日の午後見つけました。「やっと咲くことができたー!」とのびのびしているように見えます。他にもつぼみがたくさんついていて、今にも咲きそうでした。
今朝早い時間に見ると、開いている花が増えていました。他の枝や、木でもちらほら咲いています。半日足らずで、こんなに増えるものなのですね。当たり前ですが、あらためて桜が生きているんだなと思いました。半日でこのくらい変わるのだとしたら、どのくらいの時間で、咲いていることが確認できるのだろうと思い、2時間後に見てみるると、一つの花は3時間前より確実に開いていました。今日は午後から冷たい雨の予報が出ていたので、開花が一気に進むことはないのかもしれませんが、日曜には2〜3部咲きになるのではないでしょうか。満開の桜も美しいのですが、7〜8部咲きで少しつぼみが残っているくらいが私は好きです。
桜と言えばソメイヨシノがたくさん植えられていて、一斉に咲きそろう美しさを思い浮かべることが多いのではないかと思います。年度の変わり目に一斉に咲咲きそろったソメイヨシノは卒業や進学、就職といった人生の節目を彩るので、思い出の1シーンとして記憶にのこることが多いのではないでしょうか。
染井吉野は江戸時代、染井村(現在の東京駒込付近)で、エドヒガンとオオシマザクラとの交配によって生まれた品種で、染井の吉野桜という意味で「染井吉野」と呼ばれています。日本全国に植えられている染井吉野の全てが同じ遺伝子を持っているクローンなので、気象条件が整うと一斉に咲き始めきれいに咲きそろうことが好まれ、河川敷や街路樹などに植えられることが多いようです。また、葉が出る前に一斉に花が咲くので、花見にも適しているのでしょう。
しかし、遺伝子が同じなので、病気などには弱く、一斉に病気にかかってしまったり、環境の変化に弱いという性質があるようです。
生き物は生き残り戦略として、多様性を選んできました。染井吉野のように全てが同じ遺伝子だと、全滅してしまう可能性が高いのです。人間だって、みんな同じにはできていないのに、一斉に同じことをさせようというのが、そもそも理にかなっていないのかもしれません。一人ひとり違う、その違いを認めあうことが大切なのだと思います。