先日、高校生のバレーボールの試合を観戦しました。全国私立高等学校男女バレーボール選手権大会(通称さくらVOLLEY)が、8月13日から16日にかけて町田市立総合体育館のほか13会場で開催されたのです。男女各80校が出場する大きな大会で、4月に開催されるはずだったのですが、震災の影響で開催が8月に延期されのです。京都から出場している男子チーム4校のうちの1校の応援に行きました。
感心したのは、応援していた高校の保護者の熱心さです。京都から大勢の人が何泊もして、とても暑い体育館の中で熱心に応援されていました。
さて、試合ですが、1セット目は順調に得点を重ねて楽勝です。しかし2セット目は接戦でした。ピンチや大切なときにちいさなミスが出て相手に得点を許したり、ここというときに得点できなかったりしていました。なんとか2セット目も競り勝ってその試合は勝ちました。私はバレーボールのことはよくわからないのですが、技術的なものは当然としてもその上にチームワークと精神的な部分が大切なのだろうな。と試合を見ていて感じました。
たまたま購入した大会パンフレットに大会委員長の中村四郎さんという方が書いていらっしゃった記事の中に師弟関係と立場の相違ということがありました。
昔の職人は弟子に技術を教えなかったので、教えてもらえない弟子たちは「見て学ぶ」「技術を盗む」「自分で考える」ということをした。しかし今は先生が教え、生徒が教えられるという「教える立場」と「教えられる立場」がはっきりした師弟関係になってしまった。といった内容です。ここで強調されていたのは、教える方が偉くて教えられる方は何事においても下というのはちがう。という立場の違いが人間の違いではないことでした。私が感じたのは、昔の職人さんの教え方、学び方です。あえて教えないことで学ぶ方の「何とかして技術を身につけたい」という意欲を喚起し、見て、盗んで、考えるという、学び手の積極的な態度を引き出すことをしていたのでしょう。もちろん言葉で丁寧に伝えることも大切ですが、一から百まで説明してしまったら学ぶ側は全て受け身になってしまい積極的な態度は身につかないのかもしれません。子どもたちに学ぶ機会を提供する私たち保育者も気をつけないといけないことだと思います。
また、チーム内の選手でも、上手な選手、中くらいの選手、余り上手でない選手、3年生から1年生までいる方が良いということを、上手な3年生ばかりのチームが予選落ちしたことを例に説明されています。上手な同学年ばかりだと、みんながエースになり、キャプテンになって「俺が俺が」のやる気十分が却って混乱を招き、やる気が焦りに変わり、罵り合いになって我慢する人がいない最も弱いチームに変身してしまったというのです。
まさにチームワーク、役割分担だと思いました。一つのチームの中にはいろいろな人がいた方が良いのでしょう。多様性です。そしてそれぞれの違いを互いに認め合い、かばい合い、助け合ってそれぞれの立場でそれぞれの責任を果たすことなのです。それはバレーボールだけではなく、人が集まって一つの目標に向かって進む組織には必ず必要なことです。