今年の卒園式は3月21日です。それに先だち、子どもたちは練習をしていました。全園児が参加しての練習です。練習とはいえ、卒園児たちは緊張していたようです。
卒園児が園生活の思い出をことばにして伝える、「卒園のことば」というのがあり、みんなで声をそろえて言う部分と卒園児が一人ひとことずつ、自分が楽しかった思い出を言う部分があります。大人でもそうですが、話しをするのが得意な人と、そうではない人がいます。特に大勢の人の前ではそれが顕著になります。
普段は元気でしっかりしているのに、みんなの前ではことばが出なくなってしまう子もいます。「卒園のことば」でその子の順番が回ってきたのですが、どうしてもことばがでません。一旦ためらうと、最初の音を出すことさえできなくなってしまいます。そうすると沈黙が流れてますますことばがでにくくなるのです。「緊張を乗り越えて声を出して!」そう念じていましたが、壁は高いようです。こんな時は子どもどうしの力が解決の糸口だと思い、近くの友達が励ましたり、手伝うように促してみてと保育士に伝えようとしたら、別の保育士が、その場で緊張している子の両隣の子に、手を繋いで「せーの!」と声をかけてあげて!と促していました。両隣の子がそうしたら、それがきっかけで、声を出せなかった子はなんとか自分のことばを言うことができました。やはり子どもどうしの力はすごいものです。その場でとっさに声をかけた保育士の判断も良かったと思います。
みんなが力を合わせることで、困難を乗り越えられる。そんな経験をたくさんしてきたと思いますが、最後にも経験できました。困っている友達をみんなで支える。支えてくれる仲間がいる。そのことがうれしい。そのうれしさをたくさん持って卒園してくれることを願います。