ある朝、早番の保育士から少し慌てた声で電話がかかってきました。何事かと緊張しまし、「やられました」のことばに何事かと思いました。久しぶりに彼らがやってきたのです。長い間姿を見せなかったのに、どういうわけかまたやってきました。そうです。猿たちがもどってきたのです。
園庭には、靴箱の上に置いてあったカボチャがころがり、2歳児たちが大事に育てていたブロッコリーも無残な姿になっています。たくさん生えていたしいたけも、きれいにありません。5歳児たちが、卒園式に咲くといいねと楽しみにして植えたチューリップは、部屋の中にあったので無事でした。猿はチューリップの球根を食べるのです。
来ていたのは大きな群れではなく3頭くらいが一緒に行動しているようでした。保育士や子どもたちはブロッコリーが食べられたことを残念がっていましたが、どうしようもありません。猿は忘れた頃にやってくるのです。前にもブログに書きましたが、この辺りでは、あまりに動物の食害がひどかったので、畑で作物を育てる人がいなくなってしまいました。それで、食べ物が少なくなってしまったので、猿はしばらく姿を見せなくなっていたのです。ですから、猿のことをあまり気にしなくなっていたところに、突如やってきたのです。
幸いにも一番大きな被害は2歳児のブロッコリーで、その他は観賞用に靴箱の横に置いてあったカボチャがかじられたくらいでした。
次の日のお昼前、一人の保育士が「猿がいます。今そこでカボチャをかじってます」と報告にきました。急いで見に行ったのですが、猿は逃げた後でした。保育士によると子どもたちの靴箱の前でもう一つ残っていたかぼちゃをむしゃむしゃと食べていたそうです。お天気が良くなかったので、子どもたちはみんな室内で遊んでいて猿に遭遇することはありませんでした。もっとも、子どもたちが外にいれば猿は来ることはありませんが。
「かじられたカボチャをどうしましょうか」と保育士にたずねられて、どうしようか迷いましたが、園庭の見えるところに置いておくことにしました。その日は外に得る予定もなかったので、もう一度猿が来れば、子どもたちも室内からガラス越しに見ることができるかと思ったのです。カボチャを食べているところを保育士に見つかり、慌てて逃げ出した猿がまだ近くにいたので、写真を撮ってやろうとカメラを持って近づくと素早く逃げてしまいました。それからは猿は来ていないので、どこかに移動したのかもしれません。
せっかく育てたブロッコリーを猿に食べられるのは残念ですが、猿も食べないと生きてゆけないことや一生懸命食べ物を探していることなど、猿をきっかけにいろいろなことを学ぶことができれば良いと思います。