園長ブログ

落語

2012/01/30

久しぶりに落語を鑑賞しました。特に落語のファンというわけでもなく、町の寄席に行ったわけでもありません。洛北に玄武の会という会があり、その会が主催して鞍馬で「第5回 玄武寄席」が行われたので、鑑賞しました。玄武の会とは「さまざまな事業を展開する活動を通じ自然のこころにふれる人の輪を広げ望ましい人間環境醸成への役立ちを希求する。」ことを目的に、「京の洛北<玄武の地>の現在(魅力・大切さ・役割)を再認識し、それを広く内外に伝えて行く。」という活動を行っていらっしゃる団体です。

出演は、笑福亭枝鶴さん・笑福亭瓶吾さん・林家卯三郎さんの3人の噺家さんでした。ちなみに笑福亭枝鶴さんは一昨年の10月に六代目笑福亭枝鶴を襲名されました。

あたり前ですが、おもしろいです。マクラに、自己紹介、会場に来るまでのことなど身近な話しや季節の話題などを入れながら観客を引き込み、いつの間にか本編に振ってゆきます。前にも一度鑑賞したことがあったのですが、目の前で演じていらっしゃるのを見るのは、テレビとは違って、迫力があります。
林家瓶吾さんの「風邪うどん」では、うどんを食べる表現がとてもおもしろく感じました。少し大げさな仕草と、うどんを食べる音に加えて、顔の表情が絶妙でした。

落語はほとんどが、ことばと仕草による表現です。状況などを説明することばと、登場人物の会話で成り立っていますが、ストーリーがテンポ良くすすむなか、登場人物が何人もいても、声色、ことばづかい、話し方などを工夫して表現してあり、聞いている方は違和感がありません。ずいぶん工夫が必要なのだと思います。枝鶴さんの演じていらっしゃった「三十石」には、旅人、船宿の客引きや番頭、船頭、おばあさんなど、たくさんの登場人物を表現していらっしゃいました。

また、仕草は表情や視線、扇子と手ぬぐいという小道具を巧みに使って表現されます。先ほどのうどんを食べる仕草はよく目にします。瓶吾さんは「看板のピン」でキセルのたばこを吸う様子や、サイコロを振る様子を、枝鶴さんはやきいもを食べる様子を手ぬぐいを焼き芋に見立てて表現していらっしゃいました。少し大げさなところもあって、実際はそんな動きはしないだろうと思われるような動きを敢えてすることによって、臨場感が高まるのは不思議です。
ことばや仕草などによって観客の想像力を巧みにかき立て、見えないものを見せるのはすばらしい芸術だと思います。
「三十石」では、見台と拍子木が噺家の前に置いてい合ったり、舟歌を歌ったり、お囃子が入ったりしていましたが、これは始めて見ました。

実際に目の前で演じていらっしゃるのを見ていると、全身全霊で演じていらっしゃる気迫というか意気がすごく伝わってきました。

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