子どもたちが、自分で何をして遊ぶかを決め、それを選んで遊ぶ。子どもたちが主体的に決めて、活動できる。当園では、できるだけそんな環境を整えるようにしています。子どもは自ら環境に関わることによって学ぶからです。
保育室には、パズル、積み木、絵本など遊びの素材を用意した場所を設けています。部屋が広ければ、制作コーナー、パズルコーナーなど、ある程度専用のスペースを設けることができるのですが、あまり広くない当園ではそれは難しいのです。ですから、ままごとコーナー以外は遊びの素材をそれぞれの場所に置いていて、子どもたちは自分の遊びたいものを選び、保育室に持って来て自由に遊んでいます。レールをつなげて汽車を走らせている子どもたちと、積み木を積んだり並べたりしていた子どもたちが汽車が走る町を一緒に作るなど、2つの遊びが融合して新たな展開を見せることがあります。そんなときは既成概念にとらわれない子どもたちの発想に感心させられます。
ただ、十分な遊びの材料が用意できないので、興味のある遊びがなくって、走り回ってしまったりすることもあります。そんな様子が気になったのか、保育士たちが、外で思いっきり身体を動かす選択肢も用意した方が良いなどと相談していました。
室内の遊びの素材を置いている一角に5歳児の子どもたちが「ひみつきち」ができました。11月にお昼寝がなくなった5歳児たちが、午後の保育で作ったものをそこに置いたようです。私もちょうど、子どもたちが入り込めるような小さなスペースがあると良いと思っていたところなので、ぴったりです。
今朝、ひみつきちの入口の障子(これは本物)が閉じていて何人かの子どもが中でごそごそしていました。たまたま私がその前を通りかかったときに障子が開いて5歳児の女の子が何人か出てきて、「先生くじ引きして」といって箱を差し出します。自分たちで作ったのでしょう、中にはカラフルなくじがたくさん入っていて、ひとつ引きました。何があたるのかと思っていたら、「パイナップルです」といって別の箱から折り紙で作ったフルーツのアイスクリームを取り出してくれました。どうやら、ひみつきちではこれを作っていたようです。
箱に詰まったいろいろな色のアイスクリームが、まるで花束のようでとても美しかったので、昼食後に写真を撮らせてもらおうと、そのときいた女の子に頼んだら、ひみつきちの中を見せてくれました。アイスクリームは段ボールで作った冷蔵庫から、くじ引きのくじは戸棚から取り出してくれました。他にも扇風機があったり、エアコンがあったり、天井には夜空の星が描かれていたりと、とても楽しい空間になっていました。入口には「こわさないで」「ものをうごかさないで」などの注意書が貼ってありました。大切にしている様子が伝わってきます。
ひみつきち
2012/01/25