園長ブログ

防災教育

2012/01/19

東日本大震災では津波が大きな被害をもたらしました。3月11日、津波が町を呑み込んでいく様子がテレビに映し出され、映画の特殊撮影を見ているのかと思うくらい、これが現実に起こっていることだとは信じられないような光景でした。

この多数の犠牲者を出した大津波から、岩手県釜石市内の小中学校の児童、生徒の99.8%が避難し「釜石の奇跡」といわれています。これは、平成18年に起きた千島列島沖地震の際の避難率が低かったことに危機感を抱いた釜石市教育委員会が、防災教育に力を入れていた成果です。

その防災教育を指導した群馬大学の片田敏孝教授(災害社会工学)は、「子どもは環境で育つ。大きな地震が起きても、親も誰も逃げない。そんな環境で津波が必ず襲う三陸の子どもの命を守ることができるのか」という危機意識から釜石市の防災教育に関わるようになったそうです。その中心になったのは「想定に縛られず、自分の命は自分で守れ」の考えのもとに定められた「避難三原則」です。

  • 1. 想定にとらわれない
  • 2. 最善を尽くす
  • 3. 率先して避難する

海岸からわずか1キロしか離れていない鵜住居小学校は、明治、昭和の津波で被害がなかったという理由で浸水想定区域外になっていたこともあって、地震直後子どもたちは校舎の3階に集まりました。ところが、隣の釜石東中の生徒が校庭に駆け出し避難を始めているのを見た小学生は自分たちの判断で、校庭に駆け出し、中学生ともに指定避難場所となっていたグループホームのある高台へ向かって避難しました。しかし、ここでも危険を感じた小中学生たちは更に高いところにある介護福祉施設を目刺しました。その30秒後グループホームは波にのみ込まれました。そこでもまだ危ないと感じた小中学生は、更に高いところまで避難したところ、津波は介護福祉施設の手前で止まりました。避難を始めてからここまでわずか10分の出来事でした。鵜住居小学校は津波にのまれ校舎の3階に車が突き刺さっていたそうです。

この、小中学生の行動には、避難三原則が活かされています。

  • 浸水想定区域外という想定にとらわれず、自分たちの判断で避難を開始した。
  • 一旦避難したグループホームは危険だと判断して、更に高台にある介護福祉施設へそして更に高いところへと自分たちで判断し最善を尽くした。
  • 中学生が率先して避難することで、小学生がこれに続いた。

このことを知ったときに、どの場面においても、子どもたちが自ら考え、判断して行動しているということが重要なのだと私は感じました。

 

次の記事等を参考にしました

  • 産経ニュース 2011年4月13日 「避難3原則」守り抜いた釜石の奇跡 防災教育で児童生徒無事
  • 河北新報 2011年11月26日 焦点/防災教育「奇跡」呼ぶ/生存率99.8%、釜石の小中学生
  • 釜石市 津波防災教育のための手引き

 

 

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