写経の話題の次は写仏です。とはいっても、紙に描かれた仏様のお姿を繊細な細い線で写し取る写仏ではありません。5歳児の子どもたちの絵画制作活動です。
お寺の山門前に修養道場という建物があります。そこでは毎月、7日と18日に写経の集いが行われていて、毎回20名近くの方が勤行、貫主様の法話につづいて写経をされています。その道場には観音様が祀られていて、ご縁日の18日には3歳児・4歳児・5歳児の子どもたちがお参りに行っています。写経の集いの参加者がいらっしゃる前に貫主様と一緒にお参りをして、紙芝居を読んでいただいています。
そうして、毎月お参りしている観音様のお姿を、一畳くらいの大きさの紙に描きます。今年の5歳児は13名ですが、全員が同時に行うのは難しいので、2回に分けて描いています。描き始める前には、まずお参りをして、在園中毎月一回お参りをしてきた観音様に、今まで守ってくださったお礼と、小学校へ行っても守ってくださいとお願いをします。
その後、できるだけ観音様の近くに行ってお姿をよく見たり、お姿を自分の身体で表してみる、つまり観音様の真似をしてみます。近くで拝むと頭の宝冠や、眉間に白毫相があること、瓔珞や衣紋の美しさなど子どもたちはいろいろなことに気付きます。そして、お姿をよく見た後は、描く紙の上に自分で横になってみて、どのくらいの大きさに描くための見当をつけます。
あとは墨と筆を使って輪郭を取るようにお姿を描きますが、子どもは、大人のように上手に描こうとか、格好良く仕上げようなどという思いがないからか、大胆に一気に描き上げてしまいます。描いているときの子どもたちの姿勢は真剣そのものです。観音様のお姿をじっとみつめて一所懸命に紙の上に表している姿は、まるで子どもたち自身が観音様になっているようです。
最後に薄い絵の具で少し彩色したら完成です。できあがった絵を見ているとそれぞれとても個性的で楽しくなります。細かなところまで描いている子がいたり、普段おとなしい子が意外と大胆な筆遣いで、ダイナミックに描いていたりするからです。
紙の上に観音様のお姿を表している子どもたちが、心を菩薩様の慈愛でいっぱいにして育ってくれることを願います。