園長ブログ

野生動物 2

2012/01/08

前回は鹿について書きましたので、今回は猿にします。猿は一昨年あたりから見かけることが少なくなりました。もう少し前には、ときどき群れでやってきて木の実を食べたり畑の作物を食べたりしていました。初めの頃はその程度で済んでいたのですが、だんだん人間に慣れてきて、誰かがお仏壇をお参りしていると思ったら猿が勝手に家の中に上がり込んで仏壇のお供え物を食べていたとか、店先に並んだ商品を失敬していったという話しも聞きました。

猿とのつきあい方もよく考えないとなりません。観光で来られた方が、興味半分でレジ袋からお菓子を出して猿に与えると、レジ袋やバッグなど人間の持っているものには食べ物が入っていると猿は思うのでしょう。それを奪いに来るようになります。ずいぶん前になりますが、園児が降園時に手に持っていたレジ袋を猿に取られるということがありました。幸いけがはなかったのですが、ヒヤッとさせられます。猿は爪や歯が鋭く、引っかかれたり噛まれたりすると大けがをすることがあります。野生動物に軽い気持ちで接するべきではないのです。

畑に網を掛けていなかった頃、作物が実って明日収穫しようと思っていると、収穫する直前に猿がやってきて食べてしまったり、園庭近くの栗の木に実がなって、取ろうと思っていると先に猿に取られたりということがよく起こっていました。なぜか猿はちょうど良いタイミングでやってくるのです。野生の勘でわかるのでしょうか…

地域でも畑を作っていらっしゃる方はたくさんいらっしゃったのですが、野生動物に食べられてしまうので近頃は作物を作らなくなってしまったようです。鹿や猪は柵を作れば、なんとか防ぐことができるのですが、猿は上からやってくるので、防ぐのが難しいのです。猿は本当に賢く、畑にフェンスを作り上に網を張ってこれで大丈夫と思っていたら、なんと子猿が畑に入って大暴れしていました。網の継ぎ目のほんのわずかな隙間を見つけ、そこを通り抜けられる子猿だけを中に入れて作物を食べさせていたのです。親猿たちはその周りで見張りをしていて、人が近づくと普段は逃げるのですが、この時ばかりはいつもより激しく威嚇されました。猿でも子を思う親の気持ちは強いのです。

そんな猿ですが去年はほとんど姿を見かけませんでした。昨秋は柿の生り年でたくさん実がなったのですが、今でもたくさんの柿の実が雪をかぶって枝に残っています。

猿の群れはかなりの広範囲で移動をしているようですがこのあたりはその範囲から外れてしまったのでしょう。畑で作物を作る人もほとんどいなくなって、食べるものも少なくなったので、来なくなったのかもしれません。

野生動物のとうまくつきあってゆくのは難しいものです。人間のその場だけの身勝手で対応すると、後々大変なことになりかねません。どうすればどうなると先を見通すのは難しいことですが、少なくても短期的局所的な視点ではなく長期的総合的な視点をもって、どうすれば共に生きてゆけるのかを考えることが必要なのだと思います。

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