年の瀬を迎え、今年1年間のご守護への感謝と迎春のお供えのために、夜明け前から鞍馬山の中に点在するお堂やお社などを巡拝しました。
空が少し明るくなり始める頃、奥の院方面に向けて出発。気温は氷点下1度。懐中電灯を消すと真っ暗なのですが、その暗闇が暖かく柔らかに包み込んでくれるように感じます。お参りしながら山頂に近いところまでくると、少し空が明るくなってきました。
目線を上の方に移すと、木々の枝が黒い影となって覆いかぶさってくるかのようです。その枝にうっすらと積もった雪が夜明けの薄明かりを集めて白さを際立たせています。凛とした空気に身も心もキリッと引き締まると同時に、ありがたいというのか、嬉しいというのか、暖かな感じで心が満たされてゆきます。未明から降り出した雪がしんしんと降り続いています。
地表近くまで岩盤がある地質のために根を地中深くはることができない木々が地表に根を露出させている場所があり、木の根道と呼ばれています。地表を這うようにうねる根に雪が積もり、明け切らぬ空からの淡い光にとても神秘的な光景を見せてくれています。今このときこの場所でしか巡り会うことのできない、一期一会の山の姿です。
こうして朝の空気の中に身を置いていると、心がスッと落ち着いてきて、この一年間いろいろなことがあったけれど今こうしてここにいることをありがたく感じます。人の良くないところばかりを見て批判したり、自分の思うようにならないといって腹を立てても、結局、自分も周りも苦しめるだけなのに、なかなかそこから離れられない自分、ふととらわれなくなっている自分、いろいろな自分を見つめさせていただいた年でした。
多くの方に支えていただき、導いていただいたおかげで今があるということを改めて感じます。ありがとうございます。