先日、5歳児の子どもたちが、午後の時間を利用して近くの高齢者福祉施設のデイサービスセンターを訪問しました。デイサービスセンターの皆さんと当園の予定を調整するのが難しくてなかなか日が合わなかったのですが、ようやく訪問することができ、11人の子どもたちと30人くらいの高齢の方々が交流しました。いろいろな交流をする場合、交流する両者が対面しているだけではなく、一緒に何か同じことをするプログラムを入れるようにしています。向かい合っているとお互いがよく見えるというメリットがありますが、一緒に何かに取り組むとお互いの心の距離が近づくと考えるからです。
子どもたちが施設に到着、しっかりと手洗いうがいをしてからデイサービスの部屋へ向かいます。エレベーターの扉が開くと高齢者の皆さんが拍手で出迎えてくださいました。子どもたちの訪問を心待ちにしてくださっていたようです。まずは子どもたちが歌とおどりを発表、子どもたちの元気な歌声と、気持ちのこもったダンスにおばあちゃん方は大喜びです。中には感激のあまり涙を流しながら聞いてくださった方もあったようです。最初は興味なさそうにされていたおじいちゃんも発表が終わる頃には、笑顔に手拍子で喜んでくださいました。子どもたちの素直な心がもつ力が発揮され、それが伝わったのだと思います。
発表の後は、高齢者7,8人に子どもが2,3人で1つのグループを作り、みんなで百人一首を使って坊主めくりをすると、それぞれのテーブルはとても盛り上がっていました。テーブルのまん中に置いたかるたに手が届かないおじいちゃんには「ハイ」といってかるたをとってあげる男の子がいたり、けがで腕をつっていらっしゃるおばあちゃんに「だいじょうぶ?痛くない?」と声をかけている女の子がいたり、子どもたちがもっている優しさが自然にさりげないかたちで発揮されている姿に、引率の保育士は心が動かされたといっていました。
取った札に書かれたうたを子どもに解説してくださる方、かわいいかわいいといって子どもの頭をなでてくださる方もいらっしゃいました。
高齢者の方々は子どもたちから元気をもらってくださったようですし、子どもたちは高齢者の方々と遊ぶのが楽しかったのか、高齢者の皆さんが自分たちがいることで喜んでくださっているのを感じたのか、大切にされているのが伝わったのか。「楽しかった!また来たい!」といいながら帰ってきたそうです。
これだけ年齢が離れていると、異文化交流です。普段はあまり接したことのない人とでも、自分がいることで相手が喜んでくれる。自分が必要とされているという気持ちを感じたり、誰かに喜んで欲しいという気持ちになる経験を子どもたちにはたくさんしてほしいと思います。