お昼ごはんを食べ終わって、お当番の子どもたちがきれいに掃除を終えたランチルーム。少し静かな時間です。3・4歳児はお昼寝しにいったのかな、お昼寝をしなくなった5歳児は散歩に行ったのかな・・・
そう思っていたら、4・5歳児がみんなで丸く輪になって座っていました。保育士は少し離れたところに座っていて、時々何か言っていますが、どこかいつもと雰囲気が違います。何をしているのだろう?なにかやらかして叱られているのかな?気になったので、しばらく話しを聞いていました。どうやら、生活発表会で歌ったり、合奏する曲を何にするか相談しているようです。子どもたちに自分で曲を決めて欲しいと保育士は思ったようです。それも全員が、自分のこととして「この曲を歌い演奏する」と決めて欲しいと。
子どもたちを前に、「どんな曲にする?」と聞いてみると、よく話しをする子、自分の思いをどんどん前に出す子が大きな声で自分の好きな曲名を言い、発言をするのが苦手な子は何も言えず、そのままその曲に決まってしまう。ゆっくり考えたい子が自分の考えをまとめて発言する前に決まってしまう。ということがよくあります。
そうではなくて、みんなが自分の思いを伝えて欲しい。そして、一人ひとりの思いをお互いに知り合い、受けとめ合って欲しい。保育士はそう考えたのだと思います。
声の大きい人の意見ばかりが通る。人の意見も聞かず自分の思いばかりを人に押し付けようとする。大人の世界でもありがちなことですが、そうならずにみんなで意見を出し合い、それぞれの意見を尊重しあいながら、みんなが納得できるように考えることを大切にしたいのです。
そのためには、話し合う人みんなが自分の意見を出しやすい雰囲気が大切です。みんなが丸くなって座るというのはそんな雰囲気作りに有効です。みんながお互いの顔を見やすいということもありますし、なにより対等に話ができます。当園ではときどき職員が丸くなって座り、話しあう機会を持つようにしています。これを始めてから、お互いが少しずつ心を開いて話し合うことができるようになってきました。互いに心を開いて認め合う。子どもたちにこそそんな体験をして欲しいと思います。
子どもたちはといえば、ずいぶん長い時間をかけ、かなり真剣になって話し合っていました。これからもこんな体験を積み重ねて行ってくれると良いと思います。