畑に植えていたカボチャがたくさん収穫できたので、お供えをしてからみんなでいただくことにしました。どうやって食べるか、3・4・5歳児みんなで相談をしてカボチャスイーツを作ることになりました。どんなスイーツにするかは、スイーツ好きの保育士が考えたようです。自分の好きなことを考えたり形にするのはわくわくするものです。メニューは「カボチャ餃子」に決まりました。ゆでたカボチャをつぶして、バターと砂糖を加え餃子の皮で包んで焼くというシンプルなものです。事前に試作品を食べてみたら、素朴ながら深みのある味でした。
まず、ゆで上がったカボチャをボウルに入れマッシャーでつぶします。かなりボリュームがあって小さな子どもには手強いようですが、一人だとボウルが不安定なので、何人かで押さえるなど各グループで工夫をしていました。バターや砂糖を入れて混ぜるのも一苦労です。こうして餃子の中身カボチャペーストができあがったら、ちょっとお味見。おいしいくて、ついつい何度も味見してしまいます。
次は、餃子の皮に包みます。カボチャペーストをスプーンですくって餃子の皮にのせるのですが、どうしてもスプーンにくっついてしまいます。ここでも子どもたちはそれぞれに試行錯誤しています。餃子の皮に塗りつけようとする子、指を使ってスプーンからはがしている子、直接触らない方が良いと思ったのか、スプーンを2つ使っている子もいました。皮の周囲に水をつけ、半分に折って周囲を押さえてくっつけたらできあがり。あとはホットプレートで焼くだけです。餃子の皮の包み方がとても上手な子がいました。他の子は半円形にするだけなのですが、その子は水を塗ってくっつけた部分を少しずつ折り重ねて本物の餃子のように作っています。しかも、とても手際が良いのです。「上手だね。お家で餃子作ったことあるの」と聞くと、にっこりとうなずいていました。
完成品は、5歳児が午後の時間を使って焼きあげました。11月からお昼寝をしなくなった5歳児だけの特別な時間です。焼き上がったら試食タイム。美味しくできたようで、みんな満足顔。自分で作ったんですから味も格別です。美味しそうだなと思って見ていたら、心を読まれたのか「ひとつどうぞ」と私の所に持ってきてくれました。一口食べるとカボチャとバターの香りが口の中に広がり、餃子の皮の食感とカボチャそのものの甘さが絶妙で、とても美味しくできています。子どもたちも美味しそうに試食しています。
どんなこともそうですが、興味を持って気持ちを向け、手間暇かけると体験として身につきます。最近は料理にあまり手間暇をかけなくても美味しいものが食べられるようになりました。手間暇をかけない分、早くて便利ですが、食材そのものや作る過程に対する興味は薄れてしまいます。自分の命をつないでゆくために必ず必要な食べるという行為に気持ちを向け、いただくいのちに感謝することを忘れないためにも、それを子どもに伝えるためにも、大人自身が気をつけていたいことです。カボチャ餃子を食べている子どもたちの満足そうな顔を見ながら考えました。