オルゴールを実際に体験する日がやってきました。園児の保護者も何人か参加してくださいましたし、くらmamaのメンバーも5〜6人いらしてくださいました。
演奏してくださったのは、西賀茂にあるキコーオルゴールというお店のオーナー宮尾紀代子さんと、幼稚園の教頭先生をしていらした辻井裕美さんのお二人です。オルゴールや手回しオルガン、音の出るおもちゃなどを車に満載していらっしてくださいました。大きなディスクオルゴールは20㎏もあるそうです。それらを台の上に並べて、ひとつひとつ子どもたちに紹介してくださいました。
オルゴールの音はそんなに大きくありません。60人近い子どもと20人くらいの大人がいるなかで、ちゃんと聞こえるのだろうかと、始まるまでは心配していましたが、オルゴールの紹介が辻井さんの小さめのやさしい声で始まったので、子どもたちもとても静かに聞くことができました。
子どもたちに何かを伝えるときに、ついついこちらが大きな声になってしまうことがありますが、大きな声で話しかけると、子どもたちも大きな声になりますし、それに負けないようにと更に大きな声を出すと、子どもはもっと騒ぎます。小さめの声で話すと、子どもたちは聞くことに意識を集中させます。話しを聞かせるのではなく、話を聞こうと思える話し方をするのです。やらせるのではなく、自らやろうと思うように働きかけるのです。また、大きな声で心が落ち着くような優しい話し方をするのはとても難しいと思いますが、小さめの声ならやさしいトーンで話すこともできます。そうすれば、その場の雰囲気が落ち着いたものになります。
ですから、小さなオルゴールの音に子どもたちは真剣に聞き入っていました。特に0歳1歳2歳のクラスの子どもたちが真剣なまなざしで、聞いていたのが印象的でした。手回しオルガンのやさしい音に合わせて歌うときでも、子どもたちはやさしい声で歌っていました。条件さえ整えれば、子どもたちはちゃんと判断してできるのです。
ひととおり説明を聞いた後は、手回しオルガンを演奏させていただいたり、音の出るおもちゃで遊んだり、体験をさせていただきました。壊れやすかったり、中には貴重なものもあるオルゴールにも触るので、正直言って「壊したりしないだろうか」と心配になってしまいました。私はついつい「乱暴にしないで」とか「無理にしないで」と必要以上にことばで規制しそうになりますが、そのことばをぐっと飲み込んで「この子たちはちゃんとわきまえているから大丈夫!」と自分に言い聞かせました。「子どもを信じる」ことをしっかりと土台においておくことが大切ですね。手回しオルガンを回してみたい子どもたちもちゃんと並んで順番を待ち、とても丁寧に回していて、辻井さんから「やさしく回せるね」と誉めてもらっていました。
しっとりと落ち着いた、それでいてとても楽しい時間を過ごすことができました。演奏していただいた宮尾さん辻井さん、この企画をもちかけてくださった「くらmama」の皆さんありがとうございました。