少し前のことです。大きな箱が保育園に届きました。どこから何が送られてきたのだろうと思って送り状を見てみると、知り合いの会社社長が梨を送ってくださったのでした。昨年もいただいた「新高」という種類の大きめの梨で、高い香りと深い味わいが思い出されます。早速箱を開けると手紙が入っていて、ご親戚の方がご自身の梨園で心を込めて育てていらっしゃる梨を新鮮さにこだわって、朝摘みを直送したものだという説明と、今まで、当たり前だと思っていたことが如何に有難いことであるかを深く噛みしめ、「より善く転じる」ことを人の道として、真心を籠めて日々の社業に取り組んでゆくという旨の決意が書かれています。その手紙に梨の葉だと思いますが、一枚の葉っぱが貼り付けてあり、「同じ葉なし」と書かれていました。一本の木の葉でも全く同じ物はないという意味だと思います。同じように見えても一枚一枚が異なり、それぞれが役割を果たしてこそ木が育って立派な実を結ぶのです。大きな葉小さな葉いろいろありますが、それぞれに役割を果たしているのです。
私たち人間にもいろいろな人がいます。ひとりひとり顔や姿が違うように、好きなことや得意なことが異なり、それぞれに役割があるのです。それがその人の「いのち」だと思います。ですから、あまりにも幅の狭い単一の価値観だけで人を判断するのはいかがなものでしょうか。
勝ち組負け組ということが言われましたが、お金を儲けるのがうまい人だけが「勝ち組」で、使い切れないほどのお金を得る一方で、そうでない人は「負け組」といわれて、日々の生活にも困る人も出てくる。大きな格差を生んでいるのです。どこか歪んでいます。これはどこか変だ。なんとかしなくては。と思っている人はたくさんいるはずです。
人間は弱くなることで進化してきたということを以前ブログで書きましたが、弱くなることで社会を形成し、一番弱い人を真ん中にして皆が助け合って生きてゆくという道を選んで進化してきたということです。ですから、社会が機能しなくなっては、人は生きてゆくことが難しくなってしまいます。そうならないためにも、ひとりひとりがそれぞれの良いところを活かすことができるよう、みんながお互いを認め合う、違いを認める、多様性を認める、という方向に進むのが理にかなっているのではないでしょうか。だって、みんなが幸せに暮らせるようになりたいですもの。
梨と一緒に届いた手紙と一枚の葉っぱがそんなことを考えさせてくれました。もちろん梨もとってもおいしく、口にも心にもおいしいごちそうをいただくことができました。これも社長さんが心をつかって、真心を籠めて、梨を届けてくださったからです。ありがとうございます。