鞍馬の火祭りが行われました。鞍馬火祭りは、鞍馬の氏神様である由岐神社の例祭で、毎年10月22日に行われています。
天慶3年(940)に御所にお祀りされていた由岐大明神を、世の平安を祈って御所の北方にある鞍馬に遷宮され、その行列は、手には松明を持ち、道中にかがり火を焚き矛を先頭に進みました。この儀式と由岐明神の霊験を後世に伝え守ってきたのが鞍馬の住民であり、鞍馬の火祭りの起源だといわれています。
由岐神社は、園から参道を5分ほど登ったところにあります。10月22日の朝9時から由岐神社で神幸祭が行われ、由岐明神と八所明神のご神体が二基の神輿にお移りになります。その御神輿が鞍馬寺山門前までおりてこられるのですが、園児たちは毎年その様子を見学していています。結構時間がかかるのですが、子どもたちは興味をもって見ています。
園児の中でも鞍馬に縁のある園児は、火祭りに参加するなどお祭りがより身近なので、お祭り当日は楽しみでしょうがないのでしょう。朝から気もそぞろ、どこか落ち着かない様子です。「もう、おみこしさんおりていかはった?」「はよ見に行こ!」としきりに御神輿を気にしていました。
鞍馬の人たちにとって火祭りは特別な意味を持ちます。鞍馬の1年は13ヶ月、祭礼を迎えるために1ヶ月分多く働いて準備をするといわれるほど、鞍馬の人々の火祭りに対する思い入れは並大抵ではありません。その年の祭が終わったら、次日から翌年の祭の準備が始まるともいわれています。確かに準備はとても大変そうで、特に松明を作るための材料である柴を確保するのが大変なようで、山林を借り受けて柴を育てる取り組みをされていますし、松明を結ぶ藤の蔓(根)も、いつもどこかに藤がないかと気にかけていると聞いたことがあります。
火祭り保存会の皆さんを中心に鞍馬の人々の熱い思いと、努力があってこそ初めて成り立つお祭りなのです。ですから、小さな頃からその様子を見聞きし、経験することが、伝統を継承してゆくためには大切なことなのかと思います。
伝統や文化の継承という意味からも、地域の乳幼児が集まる保育園が地域で果たす役割ということも考える必要があります。