スリランカ日本教育文化センターの医療サービスを見学して、何よりも驚いたのは、診察を受けるために集まったのは1,000人を超える人々だということです。病院の中は診察を待つ人々でごった返していました。受診者は問診のあと、各診療科ごとに診察を受けていました。小児科でもたくさんの子どもたちが診察を受けていました。
眼科の診察の一つとして、視力が低下して眼鏡の必要なひとには、眼鏡を無料で提供しているということを聞いていました。その眼鏡は日本の眼鏡メーカーから提供してもらったもので、1,000個もの眼鏡があるということでした。日本のメーカーの社会貢献活動を、スリランカで困っている人々に届ける役割を、スリランカ日本教育文化センター(SNECC)が担っているのです。ここでもご縁つなぎが行われていました。誰かの役に立ちたいという人の善意を、困っている人々に届けることで、双方の喜びになる。みんながハッピーになれるのです。
提供されている眼鏡を実際に見せてもらったら、一つ一つ袋に入っていて、左右のレンズに数字を書いた紙が貼り付けてありました。オーダーメイドではないので、患者さんの視力にぴったりと合わせるのは難しいでしょうけれど、できるだけ視力にあったものを提供しようという配慮なのかと思いました。
見学していたら、初老の女性が私の袖を引っ張って何かを訴えてきました。シンハラ語は全くわからないので、近くにいたSNECCのスタッフに何を言っているのかと尋ねたら、「眼鏡をください」と言っているとのことでした。それほど眼鏡を切望している人たちがいるということなのです。しかし、私には、「ごめんなさい。私には何もできませんが、あなたの目に合った眼鏡が見つかるといいですね。」とことばをかけることしかできませんでした。あの女性は眼鏡をもらうことができたのでしょうか。