先日、中学高校時代を共に過ごした友人5人が尋ねてきてくれました。なかには、昨年会った人もいますし、高校時代以来36年ぶりという人もいました。
長いあいだ会っていなくても、みんなが集まれば36年の時間を飛び越えて、当時に戻ることができるものです。「懐かしい」と言うことばで表したくなりますが、どうも「懐かしい」という言葉はぴったりしないような気がしました。あまりにも普通に高校生の頃の気分に戻れた気がしたからです。
雨の中傘をさして、いろいろな話しをしながらみんなでお寺の本殿まで登りました。
36年ぶりに会った彼は、高校1年の時に志すところがあって学校をやめ、単身アメリカに渡り、そこで大学を卒業して、そのままずっとアメリカで暮らしていて、アメリカ国籍も取得したそうです。その彼がおもしろいことを言っていました。
長い間アメリカで暮らしていて、ずいぶん久しぶりに日本に来たときのこと、しばらく日本にいると、なぜか違和感を感じてきた。そんなときにカントリーアンドウエスタンの曲がどこかから聞こえてきて、とてもアメリカに帰りたくなっていること、つまりホームシックになっている自分がいることに気づいたというのです。彼はそんな自分に自分で驚いたと言っていました。もともと日本人なんだから、日本に帰ってきたらホッとしたり落ち着くと思っていたのに、逆にホームシックにかかっているなんて!と思ったそうです。
不思議な感じのする話しですが、「そんなこともあるものなのだな、人間の感覚って不思議だな」と感じました。同時に出身地や故郷って、自分のアイデンティティーに深く関わっていると思い込んでいましたが、必ずしもそうだとは言い切れないのかもしれない、自分を自分自身たらしめているものはなんだろう?と考えてしまいました。