9月に入ってすぐのある日、童形六体地蔵尊の前に年長の子どもたちが、並んでいました。お地蔵さまのお姿を描いていたのです。割り箸を削って作ったペンに墨汁をつけ、B4くらいの大きさの和紙風の上に描いてゆきます。
お地蔵さまを見つめる子どもたちの目は真剣そのもの。紙の上にお地蔵さまのお姿だけではなく、お地蔵さまの御心までを写し取ろうとしているかのようです。一心に描く子どもたちの傍らを通る参拝客の皆さんが口々に「上手だね」と声をかけてくださいますが、子どもたちはニコッとほほえみ返したら、またすぐに描きます。
一心に何かに取り組んでいるときの子どもたちの顔ほどステキなものはありません。そんな子どもたちのステキな顔が少しでも増えることを心から願ってやみません。
では、子どもたちのステキな顔を見ることができるのは、どんなときか?それは、その子が「やりたい!」と思ったことをやっているときです。「やりたい!」と思ったことに一心不乱に取り組んでいるとき、子どもたちはとても集中しています。集中しているときは、たとえ周囲が騒がしくても、全く意に介さず自分のやりたいことに取り組みます。そんな姿を見ていると、「片付けなさい!」なんて一方的に中断させるような言い方はとてもできません。
一心不乱とも言えるほど集中してものごとに取り組む経験を、子どもたちにたくさんさせてあげたいと思います。幼児期に集中する経験をたくさんしていると、その、充実感、楽しさ、満足感がよくわかるので、大きくなっても集中しやすくなります。勉強でも、スポーツでもどんなことでも、集中して取り組むことができるようになるのだと思います。