私が保育士の先生と監査の準備をしていたら、「何か先生のお役に立てることはありませんか?」とたずねて、ぞうきんがけを手伝ってくれた年長児の女の子。ぞうきんがけだけではなく、その前に掃除機をかけたり、遊びのゾーンを配置を変えるのも手伝ってくれました。とても助かり、うれしく思いました。なによりもうれしかったのは「何かお役に立てることはありますか?」とたずねてくれたことです。
当園は「みんなのいのち輝く!」を理念に掲げています。それはつまり、姿も形も考え方も、得意なことも苦手なことも、ひとりひとり違う人間が、それぞれにいきいきできること、お互いを認め合い、活かし合って、みんなが共により良く生きてゆくことです。
みんなで認め合っていっしょに生きてゆくことができるより良い社会を実現するために、自分のできること、得意なことで、みんなのために貢献する。そのことがうれしくてイキイキできる。そうなれると良いな。と思うのです。
そんなに難しく言わなくても、ありのままのお互いを認め合い、自分のできる事で精一杯皆さんの役に立つこと。そして、いきいきと生きることです。
ですから、普段から先生たちと話していると「みんなのお役に立つことができているか?」ということばをよく使います。ことばで言うのは簡単ですが、自分自身をふり返り、「今日は自分の得意なことで、みんなの役に立つことができただろうか?」と自分に問い直してみると、自信を持って「できた!」と言えることは少ないかもしれません。
子どもが「何か先生のお役に立てることはありませんか?」とたずねてくれたときには、いつも心に留めている「お役に立つ」ということばを子どもが普通に使ったので、少し驚きました。その子は掃除をしている大人を見て、「何か自分にできる事はないか。」「役に立てることはないか。」心からそう思ってくれたのでしょう。
うれしいことです。ありがたいことです。そして、「あなたは心からそう思っているか?」「お役に立つを実践しているか?」と問い直されたようで、気持ちが引き締まりました。