稲刈りが一通り終わった子は、もう1人の保育士と畑に生い茂った草を引き抜いたり、ひとりでに生えてきて畑を占拠してしまった瓜を収穫したりと大忙しです。
畑は園庭の一段高いところにあって、自然農法に取り組んでいます。と言いたいところですが、実際の所は全く面倒が見られていなくて、雑草と呼ばれる草たちが生い茂っています。ジャングルと呼ばれています。そのジャングルのなかにカボチャがゴロっとできていたり、夏にはメロンやスイカがころがっていました。あまりにも草の生え方がひどいので取ることにしたようで、子どもたちが草を引き抜いていました。みんなでどんどん抜いていったのですが、最後にとても大きくて太い、まるで小さな木のようなのが残りました。1人の子が引っ張るのですが、なかなか抜けないので、「おーい!みんな手伝って」と声をかけると他の子が集まってきて、手伝い始めました。どうするのかと思って見ていると、他の枝や幹の別の部分をもって引っ張るのではなく、2番目の子は幹を持っている子の腰を持って、3番目の子は2番目の子の腰をひっぱるという、絵本の『おおきなかぶ』のようになりました。保育士も、「AちゃんがSくんをひっぱって、をMちゃんがAちゃんをひっぱって・・・ うんとこしょ!どっこいしょ!」と声をかけるものですから、子どもたちも張り切って力いっぱい引っ張ります。1度引っ張るごとにだんだん列が長くなって、何度か挑戦しますが、まだまだ草はぬけません。「先生も手伝って!」の応援要請に保育士が少し手伝って根っこをゆるめた後にもういちどみんなで引っ張ると、今度は見事に抜けました。「やったー!」とみんなうれしそうです。
畑の草ひとつとることでも、これだけ楽しめてしまう、子どもの遊び心はたいしたものです。「遊びをせんとや生まれけむ」といいますが、子どもの仕事は遊ぶことです。遊びを通してこそ発達するのです。
年齢を重ねてゆくと苦しいこと辛いことの方が多くなるのか、心が堅くなってしまいがちですが、苦しいこと辛いことも、「遊び心」という調味料を使って、そのままで美味しくいただいてしまうことができる。そんな心の力を養いたいものです。