目を閉じて視覚を使わずに、他の感覚を使ってみよう、とくに音を聞くこと、聴覚を意識して使ってみようという思いから、山の中で子どもたちと目を閉じて、どんな音が聞こえてくるかに意識を集中してみました。
簡単に聞くことに意識を集中するといいましたが、聞くこと自体が取捨選択しているのだということを改めて思い直しました。
静かな山の中で、鳥のさえずり、遠くから聞こえる飛行機の音、木々が風にそよぐ音などが順番に聞こえました。それらの音は、音波としては同時に私の鼓膜を振動させているのでしょうけれども、音の聞こえ方としては、最初に鳥のさえずりが良く聞こえました。次に飛行機の飛んでいる音、そして風にそよぐ木々の音です。最初に鳥のさえずりが聞こえたのは甲高く注意を向けやすい音だったからかもしれませんし、山に登ってくる途中でオオルリらしきさえずりを聞いていたので、オオルリが鳴いているのかな?と興味を持っていたからかもしれません。ある程度鳥の声を聞いて、それに慣れてくる(飽きてくる?)と今度は飛行機の音が聞こえてきました。せっかく自然の中にいるのだから、人工的な音はあまり聞こえて欲しくないという意味で注意を払ったので、それが聞こえてきたのでしょう。その飛行機の音も、まあしょうがないかと思っているうちに、木々の風にそよぐ音が心地よく聞こえ出しました。さやさやというさわやかな音に安らぎを覚えたからでしょう。
音の波は、同じように鼓膜に届いているはずなのに、聞こえ方が異なっているのはどうしてなのでしょうか。また、どうして鳥の声、飛行機の音、木々が風にそよぐ音の順に聞こえたのでしょうか。