子どもが自ら環境に関わることによって発達してゆく。だから、様々な環境を用意して、子どもが興味を持てるようにしますが、そこには、こんな発達を遂げて欲しいという保育者の思いや意図があるはずです。ただし、保育者の思いや意図だけでは一方的になってしまって、子どもたちの学びは深まりません。どんなことをいつどんな方法で提示するのか、そのために必要なことは何か。全ての答えは子どもの中にあります。今のこの子達は何に興味を持っているのか、どう発信すればよいのか、子どもをしっかりと観て、理解していることが大切です。ですから、保育士の先生たちはいつも子どもたちひとり1人の今を考えながら、どんな環境を用意しようか、どう提示しようか、先生それぞれの役割分担は、と相談していますし、子どもたちの反応から、新たな展開につなげたり、子どもたちのことばを拾っては方向を修正したりしています。常に子どもから考えてくださっています。
それはなにも、保育士の先生に限ったことではありません。
当園のお昼ごはんの人気メニューのひとつに、五色きんぴらというのがあります。れんこん、いんげん、にんじん、こんにゃくに豚肉を加えて炒め煮にしたものです。子どもたちに人気のメニューなのですが、給食の話し合いの時に調理担当の先生達が豚肉をちくわに変えるという提案をしてくれました。人気メニューの食材を変えるのは調理担当者にとっては挑戦だと思います。
豚肉をちくわにかえた五色きんぴらができあがり、実際にいただいたら、とてもおいしくできていました。豚肉特有の油っぽさがなく、とてもあっさりとしていて、和風の味付けにぴったりでした。子どもたちも「こっちの方がおいしい」といって食べていたようです。
その時は仕入れの関係でつなぎにたまごを使っているちくわしかなかったので、たまごアレルギーの子どもにはちくわではなく、かわりにじゃこをつかったそうです。そうしたら、近くで食べていた子が「じゃこが、ええなー!」とポツッとひとこと言ったそうです。そのことばを聞いて、次回はちくわの代わりにじゃこで作ってみることにしたと話してくれました。
保育士の先生だけでなく、みんなが子どもから考えてくださっているのは、ありがたいことです。