子どもがやりたいと思うことを思う存分できるようにすることが大切です。しかしそれは、子どもの好き放題にさせるということではありません。子どもひとり1人が最も発達を遂げることができるように、その子が自発的に関わる事のできる環境を用意することが必要なのです。「おもしろそうだからやってみよう!」「できるようになりたいから、やってみよう!」という気持ちが起こり、持続することで、はじめて集中して活動に取り組むことができるのです。ただ子どもを遊ばせているだけでは、十分ではありませんし、ただ遊ばせているだけで良いなら、または大人の指示通りに子どもを動かすだけなら、専門職としての保育士は必要ないことになります。子どもをただ放っておくか、口うるさく指示するだけなら、誰でもできてしまいます。
先ず、その子の発達をしっかりと把握することが大切ですし、その子の今を見る必要があります。その上で、その子に経験してほしことができるような環境を構成し、提示することが大切です。子どもが興味を持つことができるように、さりげなく置いておくこと、大人が楽しそうに遊ぶこと、楽しそうに遊んでいる他の子を見ること、事前に興味が高まるような活動をすること・・・いろいろな方法があると思います。
園で行う、全ての活動には意味があるはずです。全てが子どもたちの学びにつながっているのです。学びというと、学校の授業のように先生が前に立って一斉に「指導」するというイメージがあるかもしれませんが、乳幼児期の学びはそうではなく、子どもが自ら環境に関わる事によって達成されます。
保育者は、その子の発達のために経験してほしいことを常に考えています。その子の発達をよく観て理解し、子どもに学んで欲しいと思っていることがあります。保育者の意図ともいえます。その意図をもって環境を構成することで、子どもがおもしろそうだなと興味関心を持ち、自分もやってみたいという意欲をもって、取り組む事ができるように導くことが役割です。
保育は常に、願いや想い、意図を持って行われているはずです。