子どもたちが、自然と3つのエリアの分かれた遊ぶこととなった公園での遊びの時間。子どもにとってみれば、総合遊具、ロープスライダー、自然という3つの選択肢があったことになります。ずーっとロープスライダーで遊んでいても良いわけですし、おもしろそうなことが見つかれば、それをしても良いのです。そうやって子どもが自由に遊びを選んで行う事を保証するためには「子どもを丸ごと信じる」ことが必要です。
子どもが遊んでいると、ずっと同じ遊びばかりしているように見えることがあります。ところが、見た目はそうだとしてもその子の学びは変化しています。同じことばかりやっているから発達していないのではないかと思いがちですが、そうではありません。子どもたちの中ではいろいろなことが変化しているのです。
ロープスライダーで遊んでいた子どもたちも、回を重ねる毎にボールにまたがるのが上手になってきましたし、スタートの時にそのまま放すか、少しだけ押してあげるかで子どもが味わえる感覚も変わってきます。ですから、子どもたちが慣れてきたら「ゆっくりがいい?早いのがいい?」と子どもたちに尋ねて選んでもらうようにしていました。もちろん、早いを選ぶと最後まで行って止まったときに大きく揺れること、だからロープをしっかりと握っていないといけないことを伝えたうえでです。ちょっと怖いなと思う子は、「ゆっくり」を選びますし、ちょっとスリルを味わってみたい子は「早い」を選びます。また、「早い」を選んで楽しそうにしているのを見て、挑戦しようと思う子も出てきますし、それでも「ゆっくり」を選ぶ子もいます。「早い」を選べば、ボールに座ってロープを足でしっかりとはさみ、手ではしっかりとロープをにぎっている必要があります。ロープスライダーという、ただ器具につかまって滑って行くだけに見える遊びの一部分だけを取り出してもそれだけちがいがあるのです。子どもたちが何を感じているかということも含めれば、その遊びを通して子どもが学ぶことは子どもによって千差万別ですし、同じ子どものなかでも学ぶことは変化してゆきます。もし、子どもがその遊びに飽きてしまったら、今のその子がその遊びから学ぶことがなくなった。ということなのではないでしょうか。
どうしても大人は、あれもさせたい、これもさせたいと自分の「させたい」を子どもに押し付けようとしますが、それでは子どもはおもしろくありません。遊びがおもしろくないということは、学びが少ないということだと思います。今、その子は自分にとって一番必要な遊びを選んでいるのだと、子どもを信じる事が大切だと思います。