園長ブログ

個人と集団

2011/10/10

保育園では「集団生活をしているから・・・」とか「集団行動をとらなくては・・・」と言うことばをよく耳にしますが、そういった場合、往々にして、皆に合わせなくてはならない。自分の意見を出すことなく、命令や大多数に合わせなければならない。といった統制的なニュアンスが感じられる気がします。自発的に何かをするのではなく、強制的なニュアンスが強いといってもよいのでしょうか。

個を無視した集団は、だれかが多くの人を支配したりするためには都合が良いのでしょう。そこには集団から離れたところに集団を支配する人がいて、みんなに何かを「やらせる」という構造があります。

一方、集団を構成する一人ひとりが、役割を分担してそれぞれに自分の力を発揮して、自発的に何かをする。目標のためにみんなが力を合わせるという、個が発揮される集団もあります。

例えば、運動会で行う組み体操も、全てを先生が決めて子どもを動かす。「こうしなさい」とやらせるやり方もあれば、今年当園で取り組んだように、できるだけ子どもたちが相談して決め、それぞれが力を合わせて行うやり方もあります。前者は一糸乱れぬ動きが美しいですし、統一感もありますが、どうしても子どもたちの「やらされ感」が強くなります。後者は見た目はぱっとしないこともありますが、それができあがるまでには、子どもどうしでアイデアを出しあったり、みんなで作り上げようという自発的な動きがあります。もちろんどちらにも一長一短がありますが、私は子どもの自発的な動きを大切にしたいと思っています。

個人を大切にするというと、みんなが相手のことなど考えずにそれぞれに自分の好き勝手なことをする、みんながバラバラでというイメージもあります。

「集団」に重きを置けば「個」は軽んじられ、「個」を大切にすれば「集団」は成り立たないのでしょうか。私はそんなことはないと思います。「個」が生きる「集団」が「個」を輝かせ、その「個」の輝きが「集団」をさらに輝かせるという、個と集団が高め合うという相互作用が働く集団もあると思います。

外からライトで照らされて光る集団よりも、一人ひとりが灯火のように輝くことで、全体が光る。鞍馬山保育園は子どもも保護者も職員も、みんんがそんな人の集まりでありたいと願っています。

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