ユニセフの「先進国における子どもの幸福度調査」で「日常生活上のリスク」という分野があり、健康行動という構成要素の指標として肥満児の割合があります。データを見ると、日本は肥満児の割合が4.9%と参加国中でも飛び抜けて低いのです。飛び抜けて高いアメリカの29.4%と比べると、すばらしい数字だと思います。
子どものころから肥満傾向の人は、大人になってもその傾向が続くと聞いたことがありますから、肥満因子は多くない方が良いとは思います。
厚生労働省発行の『日本人の食事摂取基準(2010年版)概要』には「エネルギー及び栄養素摂取量の多少に起因する健康障害は、欠乏症または摂取不足によるものだけでなく、過剰によるものも存在する。」とあります。昔は栄養が足りなくて、いかにしてエネルギーや栄養素を摂るか。ということが重要視されましたが、今は、摂りすぎにも気をつけないといけないのです。もちろん不足していることもあるので、そちらも気をつけた方が良いでしょう。
この調査は、肥満児の割合なので、肥満の人が少ない方が良いのだと思いますが、「やせ」についてはどうなのでしょう。最近は太っていることを極端に気にして、過剰に「やせたい」という思いを持っている人が、特に若い女性を中心に多いと聞きます。そういう価値観を持つ人が多くなると、子どもたちもそう考えるようになるのではないでしょうか。小学生たちが、ダイエットしなきゃといった話をしていたのを聞いたこともあります。
この調査の「健康と安全」分野は前に紹介しましたが、日本は低出生体重児出生率がとても高いのです。もう一度レポートを引用すると、
日本は最下位に位置づけられてお り、低体重で生まれた子どもの割合が27カ国中で最も高い。また、日本は低出生体重児出生率が過去30年間でほぼ倍増している (1970 年代後半の5%から2000年代後半には約 10%)が、これは先進国の中でも特異である。専門家はこの上昇について、低体重の女性の増加、若い女性の喫煙の増加、妊娠中に厳格な食事管理を行う傾向、所得格差の拡大など様々な原因を挙げている
とあります。低体重の女性の増加や妊娠中の厳格な食事管理というのが、太りたくない。という思いが原因であるなら、憂慮すべきことだと思います。
肥満児の割合が低いことが直接「やせ」が多いことには結びつかないので、このデータからそこまで考えるのは考えすぎかもしれませんが、そんなことを思ってしまいました。