「就学前教育の就学率」という指標がユニセフの先進国における子どもの幸福度の調査で用いられていました。そこで、改めて就学前教育とはなんだろうと考えてみました。就学前ですから、日本で考えれば、幼稚園や保育園などで行われる教育というのが一般的なのかと思います。最近「教育」ということばを耳にする機会が増えたように思います。特に子ども子育て新システムのことが話題にのぼりやすいからかもしれません。子ども子育て新システムでは、「学校教育」ということばがよく使われています。そして「学校教育」と「保育」は並列的にあつかわれ、相対する概念のように説明されているように思えます。私たちは就学前教育をどう考えれば良いのでしょうか。
保育所保育指針には、
実際の保育においては、養護と教育が一体となって展開されることに留意することが必要である。(第3章 保育の内容)
とあります。保育園では日常の保育において、養護と教育が一体となって展開されるよう留意しています。指針にはこう続きます。
ここにいう「養護」とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりである。また、「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助であり、「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」及び「表現」の5領域から構成される。
教育とは、「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」なのです。あくまでも子どもが主体です。大人が教え込むことではありません。保育者は子どもが自発的、意欲的にかかわれる環境を構成する事によって子どもの発達を援助するのです。これが、保育所保育指針に示された「教育」です。更にこう続きます。
この5領域並びに「生命の保持」及び「情緒の安定」に関わる保育の内容は、子どもの生活や遊びを通して相互に関連を持ちながら、総合的に展開されるものである。
つまり、養護と教育が「子どもの生活や遊びをとして相互に関連を持ちながら、総合的に展開される」のです。当然と言えば当然です。子どもは生活の中で様々なことを学び発達してゆきます。それを保育者が支えてゆくのに「養護」と「教育」という側面が考えられるということなのです。子どもは、全体として育てゆくのです。