2013年12月『イノチェンティレポートカード11先進国における子どもの幸福度ー日本との比較特別編集版』が発表されました。ユニセフの研究機関であるイノチェンティ研究所では、2000年より先進国の子どもの状況に関する国際比較報告書を刊行しています。2013年4月に発表されたレポートカード11『先進国における子どもの幸福度』では日本に関するデータが不足していて総合評価の対象とされなかったので、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩氏(社会保障応用分析研究部長)と竹沢純子氏(企画部)がイノチェンティ研究所と協力して、厳密に比較できる日本のデータを加えたことにより、『日本との比較特別編集版』が発表されたのです。
ヨーロッパ、北アメリカ、日本など31ヵ国の子どもの状況を「物質的豊かさ」「健康と安全」「教育」「日常生活上のリスク」「住居と環境」の5つの項目で比較しています。調査の結果、総合順位は
1位 オランダ
2位 フィンランド
3位 アイスランド
4位 ノルウェー
5位 スウェーデン
6位 日本
7位 ドイツ
8位 スイス
9位 ルクセンブルク
10位 ベルギー
です。
これを見ると、日本はトップクラスです。ドイツ、スイス、ベルギーなどは日本よりもずっと上位にランキングされていそうですが、そうでもないのです。しかし、日本の6位は、上位5ヵ国と比べると事情が少し異なるようです。上位5ヵ国は5つの全ての分野で成績が良いのに対して、日本は「教育」「日常生活上のリスク」で1位になったのですが、「物質的豊かさ」では31ヵ国中21位になるなど、分野によってばらつきが見られたそうです。5つの分野は互いに関連性があるので、現在1位の「教育」「日常生活上のリスク」についても、将来的には悪化する可能性があるのだそうです。部分的に飛び抜けているのはどこかいびつなのだと思います。