園長ブログ

何もしない

2014/04/05

春休みの学童保育は賑わっています。このところご紹介しているように、全員で行う行事のような活動以外の時間は、基本的には子どもたちは自由に過ごしています。この自由というのが結構難しいのです。やりたいことがしっかりとある子は迷うことなく自分のやりたいことに取り組みます。なかなかやりたいことが見つからない子は、落ち着かない様子です。自分で選んで決めることができないと、「何をやっても良い」と言われると困ってしまったりします。自分で決めることができるようになるためには、自分で選んで決める経験をたくさんすると良いのです。自由をしっかりと使いこなすためには、自分がしっかりしている必要があるのですね。

こう書くと、一所懸命に何かに取り組んでいることだけが良いことで、何もしていないのは良くないことだと言っているように誤解されがちですが、そうではありません。なにもしないという選択肢ももちろんあるのです。大切なのは、子どもたちが「自分でそうしたい」と思ってそれをやっているかどうかだと思います。

子どもたちを見ていると、一所懸命に塗り絵に取り組んでいる子もいれば、ビーズを使って何かを作っている子、カードゲームに興じるグループ、寝そべって本を読んでいる子、何もしないでゴロゴロしている子、窓の外を眺めている子など様々です。それでいいんです。それがいいんです。

ある日、学童保育に来ている小学生の保護者と話をする機会がありました。子どもがとてもうれしそうに学童保育に通っていると喜んでくださっていました。「いつも楽しみにしていて、他の予定と重なっても、なんとしてでも行くと言って聞かないんです。」とまで言ってくださいます。「いえいえ、何もできていないんです。」と答えると返ってきたのは「何もしないからいいんです。」のことばです。思わず「えっ?」と聞き返すと「うちの子は何もしなくてもいいのが、とても心地良いようなんです。」とのこと。どうやらその子は、いつも真面目で緊張感が高いようです。でも、めぐみ精舎の学童保育に来ると、やらなくてはならないことはないので、何もせずに自由に過ごせることが嬉しいのだそうです。この話を聞いて、もちろんその子の性格にもよるのですが、今の子どもは結構大変なんだなと思いました。と、同時に、そんな子にとって自分を解放できる場所であること、ホッとできる場であることを嬉しく思いました。

基本的にめざしていることの一つが、みんなが自分らしくいられる場、好きに過ごせる場であることですから。その役割を少しは果たせているかもしれません。

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