「自分で食べると決めて食べに行く」「食べる食べないを細かくリクエストできる」「自分の食べる時間を見通して食べる」ことをねらいとして行った、「やきそばやさん」。そのために、ちょっとした工夫もしました。
まずは子どもたちが自分の食べる時間の見通しがつけやすいように、時計を意識しやすい表を作りました。子どもたちは約30分くらいを目安に食べ終わるようにと考えました。食事を取り始めてから20分ほどすると血糖値が上がり、満腹感を感じるようになるので、その後はあまり長い時間をかけて食べていても良くないそうです。ですから、自分の食べはじめから30分を目安に食べ終えることができるように考えました。例えば、11時30分から食べ始めた子どもは、「12時00分ごろを目安に食べ終われるようにすればいいんだ。」とわかるような表を作ったのです。表の左に「はじめ」と書き、その下に11時30分をさした時計の写真を貼り付け、「11時30分」「じゅういちじ さんじゅっぷん」と書き足しました。そして紙の右端には12時ちょうどの時計の写真と時間の表示、読み方をおなじように書いておきます。
11時30分ごろに食べ始める子どもは、そこに自分の名前のシールを貼ってから食べ始めます。そうして、ときどき時計を見て、自分で加減をしながら食べるのです。もちろん必ずしも30分でなければならないわけではありませんが、意味も無くだらだら食べることが少なくなれば良いし、なにより自分のおなかの具合や体調と相談しながら時計を見て食べられると良いと思ったのでした。
この方法は、以前福岡のある保育園を見学に行ったときに、普段の昼食時に行っていらっしゃるということで、紹介していただいた方法を少しアレンジしたものです。
その他には、ランチルームが、たとえ少しだけでもいつもと違う雰囲気にならないかと思って、「やきそばやさん」の文字や焼きそばのイラストを壁に貼り付ける。のれん風のイラストを出入り口に貼り付けるなどしてみました。
調理では、その日使った食材のイラストを配膳台に掲示して、焼きそばの中に入っていることをわかりやすく表示する努力をしていました。そうすれば、どんな食材が使われているかわかりやすくて、子どもが「にんじんは少なめにお願いします」「キャベツを多めにしてください」といいやすいという配慮からです。
「やきそばやさん」の企画を中心になって進めていた調理室の2人は、とても楽しそうに取り組んでいましたし、他の職員達も全力でサポートしてくれていたのがよくわかり、私も楽しく、うれしい気持ちになりました。