コウモリについて少し書きましたが、このヒナコウモリがいることでわかったというか、知ったことがあります。ヒナコウモリだけにつく蚤がいるということと、このコウモリにつく蚤を専門に研究している方がいらっしゃるということです。この蚤の研究はとても大変そうです。その理由は、前にも書いたように、ヒナコウモリが繁殖や越冬する場所で人が監察できるような場所が限られていること。従って、ヒナコウモリにつく蚤も、採取することをはじめ研究が難しいのです。研究者が少ないからか、研究が困難だからか、その両方の理由によるでしょう、日本ではあまり研究がすすんでいないようです。
お寺にヒナコウモリが越冬している場所があります。そこにはヒナコウモリが何頭か集まっているので、周囲にはコウモリの排泄物など、コウモリに関係ある物がいろいろとみつかります。そんな中に蚤の卵がたくさんあったそうです。お寺の自然の調査研究をしてくださっている方が、その卵などを蚤を研究していらっしゃる方に見ていただいたそうです。研究者の方は、卵だけではなくその周囲の物にも注目し、写真を撮って拡大してくださいました。そうすると、卵のまわりには赤褐色のちいさな粒がたくさんありました。それは、卵がかえって幼虫が出てきたときに、食べ物に困らないようにと蚤の成虫がコウモリの血液を体内で固めた小さな粒(排泄物)を置いているのだそうです。親の子に対する思いやりですね。研究者は、その卵を孵化させて、幼虫を育てて観察されるそうです。どうなるのかが楽しみです。
実はこの蚤には、まだ和名がついていないと聞きました。これからいろいろなことがわかってくるのかもしれません。今までわからなかったことが明らかになるのってわくわくします。それにしても、身近なことでも知らないことばかりだと思います。なんでもわかった気になっているのではなく、いろいろなことから謙虚に学ぶ姿勢が大切です。