金子しゅうめいさんによる「太鼓と獅子舞のミニライブ」、この公演について、事前に子どもたちに何を伝えるのか、伝えないのか迷いました。あらかじめ獅子舞について説明しておいて、子どもたちがイメージを膨らませてから公演に参加するという方法もあります。しかし、今回はほとんどの子どもが獅子舞を見るのが初めてだと思いましたし、私自身、本物の獅子舞を見たことはありませんでした。ですから、浅薄な知識だけで説明をするのではなく、子どもたちが感じるままに素直に感じるのが良いと思って、事前に詳しい説明をすることは敢えてしない方を選びました。
子どもたちが日本の伝統芸能に触れる、経験するということが、今回の公演の大きな目的のひとつです。子どもたちがそこで何を感じ、何が子どもたちの心に残るのかは、ひとり1人違います。子どもたちにとっては、五感をフルに使って全身で太鼓と獅子舞を先ず感じることが大切なのかと思ったのです。子どもたちは「獅子舞」ということは少し聞いていたようで、何が起こるんだろうと期待と不安が半分半分で、参加した子もいたようでした。
この公演のきっかけは、お正月休み明けに、保育士の先生が「獅子舞って見たことありますか。」「獅子という生き物がいるのなら、きっとこういうものだろう。と思わせる獅子舞があるので、是非子どもたちにみせたいんです。」と提案してくれたことでした。私自身、獅子舞を見たことがなかったので、是非一度見てみたいとも思いましたし、子どもたちにも初めての経験をしてほしいかったので、公演をお願いすることにしたのです。
「なんだ、園長が見たかったんじゃないか。」といわれそうですね。そうなんです、見てみたかったんです。子どもたちが、見たい!聞きたい!やってみたい!と思う存分かなえてあげることも大切なのはもちろんです。お父さんやお母さん、先生など身近な大人が見たいと思うものを真剣に見て、笑ったり泣いたり心を動かしている姿を子どもが隣で見ていること、同じ場に身を置き、その場を共有していることって大切なことだと思います。
子どもたちが、太鼓と獅子舞を全身で感じることを大切にしたい。と思います。「太鼓と獅子舞のミニライブ」には、演じ手のしゅうめいさんがいらして、太鼓があって獅子がいて、それを見ている子どもがいて、大人がいて、その場に存在するありとあらゆるものがその「場」を作るのです。ですから、そこにいる大人がどれだけ真剣に楽しんでいるかも「場」を作る大きな要素です。そうやって全てのものが互いに作用し合って、その「場」ができる。だから、しゅうめいさんは細部にまで気を配ることで、公演の「場」を大切にしていらっしゃるのだと想像します。