秋になると園を見学に訪れる方が増えます。10月には多くの幼稚園で次年度入園募集がはじまるので、幼稚園に入園するか保育園にするか、考えていらっしゃる保護者の方が見学に来られることが多くなるのです。もちろん保育園に入園希望される方がそれ以外の時でも見学にみえたり、園庭開放の時を利用して親子で来園される方もたくさんいらっしゃいます。
先日、そんな方が、園を訪れてくださいました。見学者の対応は私が行う事もありますが、たいてい主任の先生が行ってくれます。園の理念や保育方針、保育の方法などを説明したり、事務的な説明をしたり、一通り口頭での説明が終わったら、実際に園内をご覧いただいています。
その日の3・4・5歳児は、土曜日ということもあったのかもしれませんが、登園している子どもの数が少なく、いつもにも増して子どもたちが自分でやりたい遊びを選んで、思い思いに取り組む活動となっていました。室内での遊びでしたが、どうしてもなわとびをしたいという子どもたちのために、部屋の一角がなわとびゾーンになっていたり、別の一角では1時間くらい集中してお絵かきをしている子どもたちがいたり、こま回しに夢中になっている何人かがいたようです。
そんな様子をご覧になった見学者が、「今まで持っていた保育園や幼稚園のイメージと違う。」とおっしゃって、何かをやらされている感じがなくて、子どもたちが楽しそうにいきいきと遊んでいる姿に感心していらしたそうです。
その後、昼食の時間が近づいたので、先生が「絵本を読もうかー」と声をかけたら、子どもたちが、それぞれ遊んでいたおもちゃを片付出し、先生が「集まりなさい」といったわけでもないのに、先生のまわりに自然に集まってきて絵本を見ようとしていた姿にも驚かれていたようです。
当園でも、先生が指示することもありますし、どもが一斉になにかをすることはありますが、この時はいつも以上に子どもたちが自らの興味に従って主体的に自発的に遊び込めていたようです。そうして、子どもたちの心が満たされると、次の活動への移行もスムーズに行う事ができるのです。情緒が安定するためには子どもたちの様々な欲求を適切に満たすことが必要となってくるのです。
だからといって、先生は放任して子どもたちのやりたい放題やらせていたわけではなく、遊びが発展したり、興味が続くような配慮や声がけをしているのです。このときもなわとびをしていた子どもたちが少し飽きてきたようだったので、子どもたちが挑戦したくなるようななわとび遊びを提案したら、そこから遊びが広がったといっていました。