伐木作業をしばらく見ていただけで、体がすっかり冷えてしまいました。作業をしていらっしゃる方は、さぞかし大変なことでしょう。4時近くなって、そろそろ作業が終わるかと思い、再度現場へ行ってみました。途中クレーン車のタイヤの跡があったので、作業は終わって、クレーンも帰ってしまったようでした。あれほど大きな木がそんなに早く切れたのかなと思いながら、玉杉さんに到着して見ると、作業は終了したようで、誰もいらっしゃいませんでした。早く終わったのだと思ってふと顔を上げると、ご神木が今まで通りその場所に立っていらっしゃるではありませんか。根元から数メートル残して伐採してしまったとばかり思っていたので、驚きました。見上げると、ずいぶん高いところから上はなくなっていましたが、ほとんど気にならないくらいの高さです。何度も見上げたり、少し後ろに下がって見たりしているうちに、何かが違うことに気付きました。よくよく見ると、今にも倒れそうなくらいに傾いていた幹の傾きが少し戻っているのです。もちろん完全に戻ったわけではないのですが、明らかに、目で見てわかるほどに傾きが少なくなっていました。驚きと喜びが一緒にやってきて、思わず手をあわせていました。
ちょうどそこに作業に当たっていたお寺の方が通りかかったので、話を聞いてみると、木を切り進めるうちに、幹から新しい枝が出て伸びている箇所があったそうです。新しい枝がでているということは、そこから下はまだまだ元気だということなので、伐木はそこまでとなったそうです。木を切って下さった方も、「こんな状態なのに、これほど元気な木は見たことがない。さすがご神木や!」といって驚いていらっしゃったと聞きました。
力強く復活した杉の木を見ていると、こちらまで力をいただけるような気がして、何だか心が晴れ晴れして、嬉しくなってきました。私は、勝手に「復活玉杉大黒天」と呼んでいます。