出汁昆布の味比べでおすましを作ったら、今まで使っていた昆布が全体的に味のバランスがとれていました。
新しい昆布(B)は単独では味がしっかりしていたものの、様々な味が混じるとバランスが悪くなってしまいました。自己主張が強すぎると、いろいろなものの味をバランスよく活かすことが難しくなるのでしょう。
人でも同じかもしれません。声が大きく自己主張の強い人が自分の意見をどんどん通そうとすると、良いアイデアを持っている人でも、発言でき無いままになってしまったり、発言しても、大きな声にかき消されてしまうことがあります。そうなると、全体としてはバランスが悪くなってしまいます。
出汁昆布(A)は、単独ではあまり目立たないのですが、他の食材の良いところを引き立てるように働くと、材料それぞれの良さが活かされて、全体としてはバランスのとれた味になりました。
これを人に当てはめると、「人の意見を聞く(聴く)」ということにつながるかもしれません。聞き上手はコミュニケーション上手だと聞いたことがありますが、人の話を素直に聴く、何か意味のあることなのだと思って聴く、ただ聞くのではなくて傾聴することがこれに当たるのかもしれません。みんなが大きな声で、言い合ってばかりでは、どこかバランスが悪くなってしまいそうです。昆布が「傾聴」することの大切さを教えてくれました。ちょっと飛躍しすぎですかね。
昆布一つとってもこれだけ奥が深いものなのだということに、不思議さとおもしろさを感じ、調理の先生たちと「いろいろなことを試してみるとおもしろいね。」ということになりました。
せっかくおすましを作ったので、子どもたちや保育士の先生たちの意見も聞いてみました。子どもたちはおすましの味見をしてそれぞれに自分の好きな方を教えてくれましたが、顕著な傾向があったわけではありません。保育士の先生達は、今まで使っていた昆布(A)が好きといった人が少し多かったかもしれません。
試してみるのって、わくわくします。