子どもたちが家にサンタクロースが来た話をたくさん聞かせてくれましたが、当園にもサンタクロースがやってきます。当園に来るサンタクロースは少々あわてんぼうで、クリスマスの少し前にやってきて、子どもたちとクリスマスソングを歌う、子どもの質問に答えるなど楽しい時間をプレゼントしてくれます。そして、お菓子の入った小さなブーツも忘れてはいません。子どもたちは1人ずつサンタクロースの前に進み「メーリークリスマス」「ありがとう」などといって嬉しそうにプレゼントを受け取っています。今年は0歳児や1歳児の子どもたちも少々緊張していたものの、泣いてしまうことなくプレゼントをもらっていました。
幼児クラスに歩くことが苦手な子がいます。最近ではもう少しで介助なしで歩くことが出来そうだったのですが、自ら一歩を踏み出すことができずにいる様子でした。ところがサンタクロースが来た日、サンタからプレゼントをもらう順番が回ってきたら、自分でスッと立ち上がってスタスタとサンタの前に歩いて行ったのです。あまりにも自然だったので最初は気づかないくらいでしたが、すぐに驚きから大きな喜びへと私の心は動きました。その場に居合わせた職員ひとり1人のうれしさはことばでは表せないものだっただろうと思います。何よりも本人が一番嬉しく、心の中に自信が生まれたのではないかと思います。その子は今では走るのも速くなりましたし、笑顔も増えていろいろなことに意欲的に取り組むようになったと感じています。
この大きな喜びを通して、やはり子どもの心の中に生まれる「やりたい!」という意欲がとっても大切だということを思い直しました。いくら、ああでもないこうでもないと言い聞かせたり、叱ったりしてやらせても本当にその子が「やろう!」「やりたい!」という意識、意欲を持たないことには、本当の意味でいろいろなことができるわけではないと思います。大人に動かされてやっても、やらされても、それはその子のものにはならないのです。ですから、保育って子どもを操ることではないのです。おとなの言うとおりに動く「よい子」を育てることが目的ではないからです。子どもが自らの人生を積極的に幸せに生き、より良い社会の実現に貢献する。そのことが本人の幸せである。そういう人に育ってもらうことが目的だからです。子どもの意欲を高めるためにも、子ども主体の保育を進める必要があることを感じました。
サンタクロースのくれた大きな大きなクリスマスプレゼントでした。