園長ブログ

それぞれ

2013/12/13

ありのままの自分で参加していいんだよという肩肘張らない気楽さ。認められている感じ。自分のレベルに合わせた適切な課題の提示、そして、みんなで一緒にひとつのことに取り組む楽しさが、ただのレッスンではない、ギターサロンの楽しさの理由なのかと思いますが、これって子どもが育つことと似ています。

大人、特に先生と呼ばれる人たちは、「5歳ならこれくらいはできるはず」と、5歳児という目標を設定して、その目標に届いていないところを何とか伸ばそうとしがちです。足りないところを埋めるようなイメージでしょうか。でもあまりそうすると、子どもはできない自分、目標に届かない自分というネガティブな自己イメージを持ちがちです。それが、子ども自分から、「あれがしたいけれどもここにはそれができない自分がいる。でも何とかできるようになりたい!できる自分にしたい!」という強い気持ちが子どもにあれば良いのですが、「これくらいはしなさい。」「5歳なのにこんな事もできないの?」という気持ちで接すると子どもたちは自信をなくしてしまい、持っている力を発揮できなくなってしまいます。年齢や性別、しょうがいの有無といったことだけで子どもを判断するのではなく、その子の今をしっかりと見て、個性や発達の偏り、得意なこと苦手なことをしっかり把握して、その子にとって今必要なことは何かを考えなくてはならないのです。

初めてギターを触る私に、「練習初日の人の課題はこれだから、できるように練習しなさい。みんなこれを同じようにやっているの!」と課題を与えられたら、あまり楽しく取り組めそうにありません。それよりは、この人は、コードは押さえられるんだな。でも、次のコードに移るのに時間がかかるんだな。と私の現状をとらえたうえで、それなら、4拍子の1拍目だけを弾いて後の3拍の間に次のコードの準備をしてみれば?そして、それができるようになったら、4拍子全てを弾いて、素早く次のコードに移れるように練習してみたら?と示してもらった方が、できない自分を意識しすぎずに取り組めそうな気がします。

年齢も性別も発達も個性もひとりひとり異なる子どもにいつも一斉に同じことをさせようと言うことに無理があると思います。子ども1人ずつの今をとらえて、認め、伸びることを信じて120パーセントの環境を用意することが大切です。この子の今は何か、興味はどう広がるかなど、心を尽くして考え、環境を用意することが、専門性のはずです。「5歳だからこれをやりなさい。」とやらせるだけなら、それは誰にでもできることです。そこに専門性は必要ありません。

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