オランダでは認知症のケアが進んでいることを知りました。本人と共に家族をさえるためのケアがしっかりできているのだそうです。本人が不安が少なく、できるだけ穏やかな心境で過ごせるように、そのためにも介護者である家族をしっかりとサポートすることを大切にして、ひとり1人のケースに対して最も良いサポートができるようなしくみが国家プロジェクトとして作り上げられてきたようです。国家プロジェクトというと、国で決まったことが、上から下りてくるというイメージを持ちがちですが、暮らしの場である地方自治体レベルでいろんなサポートやサービスを展開してゆく必要があります。ですから、実際に現場で活動する人が専門性を活かせるように裁量権をもっていて、地域にもっとも適した、サポートが展開できるようになっているのだそうです。例えば、認知症ケースマネージャーという人がいて、本人と家族にとって必要なサポートは何かを見極め、家族に対するカウンセリングなども積極的に行っているようです。
オランダで思い出したのが教育です。オランダの教育が日本でも話題になっています。教育学者でオランダ在住のリヒテルズ直子さんが、イエナプラン教育の学校を日本に紹介しようと努力されていますし、教育評論家の尾木直樹さんがイエナプランの学校を訪れて絶賛していたテレビ番組を見たことがあります。私もオランダの教育について研修で少しだけ学んだこともありますが、子どもひとり1人がその子らしく生き、社会でより良く生きてゆくためにはどんな力が必要かという視点で、子どもの主体性、自発性を尊重した教育が行われているそうです。こどもが自ら時間割を組み、学習計画を立てて、自分で課題に取り組むなど子どもが自発的に学ぶことが中心となっているそうです。
オランダ教育の特徴の一つは、個に応じた教育ということでしょう。ひとり1人を大切にするという考え方があるのだと思います。性別や、年齢、しょうがいの有無といったことで区別するのではなく、その子に今、最も必要なことは何かが考えられ、子どもたちひとり1人が自分のペースで、自分に一番適した方法を選んで発達することができるように配慮されているといって良いと思います。
この、ひとり1人を大切にする考え方をどうすれば具体化できるのか、そのしくみを考え、実践し、それぞれに異なるひとり1人がもっとも幸福でいられるために教育や介護が為されているように感じました。